冠徹弥が『大冠祭2014~メタル縛り~』を企画/開催するにあたっての動機を語った前回に続き、今回はこの祭典に登場する出演者たちとの関わりについて話してもらうとしよう。まず今回はSEX MACHINEGUNSとNoGoD、そしてALDIOUSについて。各々が異なった個性を持ち合わせていると同時に、いずれもがメタルであるという事実。そこが鍵である。
――イベントの趣旨を敢えて明確に“メタル縛り”にしたことで、“実はあれもメタル、そしてこれもメタル”という具合に、このジャンルが思いのほか範囲の広い多面的なものだということが証明されることになるんじゃないかと思うんですよ。
冠:そうなんですよね。まあいろんな固定観念があるかもしれないですけど、メタルって、一口に言っても実は広いんで。メタル縛りとはいえ、それぞれのバンドが自分らなりにいろんな要素を取り入れてやっているわけですし。全然、似たようなバンドばかりが集まってるというわけじゃないですから。それぞれ個性があって、独自の世界観がある。似たようなバンドばかりがずっと続くようなイベントには絶対にならないですね。
――それは出演ラインナップの顔ぶれを見れば明白なことですよね。
冠:ええ。本当に個性的なバンドばかりですから。だけど同時に、全部がメタルなんですよ。そこに面白さを感じ取って欲しいですね、
――これまでなかなか交わる機会のなかったメタル・バンド同士が、敢えてメタルというキーワードを掲げたことによって同じ場に立つことになった、というか。
冠:その通り。逆に、ありそうでなかったように思うんですよね、こういう機会というのは。日本のバンドばかりのメタル・フェスというのも実は他にないし、若い世代も登場すれば、僕らの先輩にも出ていただくわけで、実に幅広い。これはもう、確実に面白くなると断言できますね。
――その出演者たちについて少し訊きたいと思います。まずSEX MACHINEGUNSとNoGoDについては、冠さん自身と同じような志を持ったバンドであるという共通項があるわけですよね?
冠:まさに。ことにSEX MACHINEGUNSとは、これまでもう何度もツアーをやってきましたからね、『SEX冠』というのを。ANCHANGともよく言ってるんですけど、メタルにキャッチーな言葉とか面白い要素を載せたものを追求してるという部分で、すごく共感をおぼえるところがあるんですよ。それはもう、THE冠が始まる以前、僕がSO WHAT?をやっていた頃から同じで。そういうところでの親近感をおぼえてきたんです。またこうして時間を経て一緒にやるようになったわけですけど、ずっと一緒にやりたかった相手でもあるし、志が同じという言い方が適切なのかどうかはわからないですけど、同じ枠のなかで闘ってきた仲間同士という意識はすごくありますね。
――戦友ですね、ある意味。
冠:ええ。で、僕らやSEX MACHINEGUNSの音楽を学生時代にずっと聴いてきたという団長が、今、NoGoDでメタルをやっているという事実に、僕はものすごく愛を感じるんです。彼はね、何度も自分のラジオ番組に僕を呼んでくれたりとか……。とはいえ深夜の4時くらいに、ラジオの生電話をかけてくるような失礼なやつでもあるんですけど(笑)。「深夜のシャウトお願いします!」とか言って、いきなりシャウトさせられたり(笑)。
――そんな時間にシャウトして、ご近所から警察に通報されませんでしたか?
冠:それは大丈夫でしたけど、ホンマに洒落にならんですよね。外でラーメン食ってるときにそれを頼まれたこともありましたから。そのときは店から出てシャウトしたんですけど(笑)。でも、僕らのことをずっと好きで音楽を始めて、今もメタルをやってるNoGoDと一緒にやれるというのは嬉しいですね。自分たちも含めたこの3組の出演については、すごく自然な流れで決まった感じです。
――そんななか、ALDIOUSの参加も決まっているわけですが。
冠:このフェスにおける紅一点とでも申しましょうか。最初の出会いという意味では、僕らが『傷だらけのヘビーメタル』というアルバムを出したときに、ギターのTOKIさんが自分のブログに「このアルバムすげえ!」みたいなことをぶわーっと書いてくれてたんですよ。たまたまネットで自分のことを検索してるときに(笑)、それに気付いて。すごく嬉しいなと思って。で、実は僕らのところでもギターを弾いてくれてたK-A-Zが、彼女たちのアルバムをプロデュースしていたりもするんですね。そんな縁もあって繋がるようになって、去年、ALDIOUSのツアーの長野公演に参加させてもらったんです。あのバンドは、ひと目でわかるように華があるうえに、すんごい一生懸命メタルをやってるんです。そういうバンドを、一組は迎えたかったんですよ。間違いなく盛り上げてくれるでしょうし。