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LIVE REPORT

MURO FESTIVAL 2014

2014.07.27 sun 東京晴海客船ターミナル特設ステージ
open 11:00 / start 11:30

梅雨明けの空の下、全31アーティストが熱演
東京の海の玄関口がこの日だけライブハウスに!!

【屋外ステージ】
2014年7月27日暑い暑い夏の空の下、TSUTAYA O-Crest店長室氏によるバンドマンとバンドマンを愛するファンの為のフェス〔MURO FESTIVAL 2014〕が東京晴海客船ターミナル特設ステージで開催された。
野外に併設されたLEFT STAGE、RIGHT STAGEの2つのステージで交互にライブが展開され、晴海客船ターミナル内には室内STAGEが1つ、全てのステージから東京湾にかかるレインボーブリッジが見渡せる最高のロケーションで、29バンドとFIELD ACT2組が出演。このフェスの出演者の大半は、TSUTAYA O-Crestというライブハウスで育ったバンドばかり。このライブハウスで室店長やライバル達と音楽を磨き、共に成長していったバンドばかりだ。楽屋は朝から打ち上げのような雰囲気で始まるが、出演者誰もが”オークレストの期末試験”と口を揃えていうこの日。オークレストを愛するがため、室店長、オーディエンスの期待に応えるため、バンドマンが火花を散らす一日が幕を開ける。

熱い太陽が照りつける中、口火を切るのは2組のオープニングアクト[ghostnote]と[A(c)].。まず先行はRIGHT STAGEから[ghostnote]。Vo大平の気合一発「ムロフェスいけるかー!」からスタート! スタートから集まったオーディエンスの歓声と拍手が、この日への期待を物語る。”今日から始められる事があるよ”と力強く歌い、LEFTSTAGEの[A(c)]へとバトンを渡す。Vo白江のブルージィーなギターと歌の弾き語りからスタート。アダルトな雰囲気でオーディエンスを魅了しながらも、徐々に熱を上げていく。ライブの定番『レシピ』では”あなたのお口にあいますか?”で多数の手が上がり、会場との一体感を生む。オープニングアクトながら、充分な存在感を見せた2組だった。
 オープニングアクトの後は、主催者室氏の挨拶。「全バンド全力を持ってみんなを楽しませるので!」とバンドマンに気合を入れなおし、「最後のアルカラまでいこー!!」と勢いづけ本編1組目[DIRTY OLD MEN]へ。サウンドチェックから待ち切れないオーディエンスの歓声が上がる。それを更にあおるように「熱くなろうぜ!」「もっと自由にしてけよ!!」と投げかける。オーディエンスの熱を充分に上げ、[LACCO TOWER]へ。歌謡曲、パンク、ハードコアなどあらゆるジャンルを消化し、叙情的な旋律を奏でながら激しいライブを展開。すでにステージもフロアも祭り状態で出演者もフロアへダイブ。「出演者はしゃぎすぎやろー。」とVo松川がつっこむシーンもあったほど。本編開始から、更にオーディエンスの熱が上がる。そして[LUNKHEAD]へ。サウンドチェックでは「夏の匂い」をしっとり歌い上げるVo小高。だが、「本番はノンストップでいくんで。」とその言葉の通り、『閃光』『シンドローム』と続き、『ぐるぐる』でフロアへダイブ!「お前ら(ファン)は俺らを何倍もカッコ良く映してくれる魔法の鏡やー!」と全力でファンに愛を伝えきった。お次は[SUPER BEAVER]。「いつもあなたの背中を押したい。」と優しくも強く語りかけ、真っ直ぐにオーディエンスの目を見つめる。それに呼応し、会場満員近くなったオーディエンスも高らかに拳を掲げる。ラストの曲は『ありがとう』「目を逸らさずに聞いてくれよ。」と真摯に、誠実に対峙する彼らの姿は見る者の胸を打った。

 

照りつける太陽の輝きが増す中、続いて[The SALOVERS]。ムロフェス初参戦の彼らも、これまでの勢いを引き継ぎながら全力のロックで駆け抜けていく。8月発売の配信限定シングル『喉が嗄れるまで』も披露し、LEFT STAGEの[Rhythmic Toy World]へ。跳ね回るダンスビートがフロアを揺らし、その上でVo内田の伸びやかな歌が踊る。「最高の顔をして見てくれる皆がいるから」と語りかけるのは、ムロフェス特有のライブハウスで築き上げたアーティストとオーディエンスの信頼関係を、そのままフェスの舞台まで昇華出来ているからであろう。[ircle]へ。振り絞るという表現がぴったりのVo河内の歌声。それがロックの美しさとでもいうように、全身で音楽を放つ。だが、ライブが展開される中で少しづつ振り出した雨、会場の安全確保の為、あと1曲を残す所で中断を余儀なくされる。全員が非難を完了するやいなや、激しい雷雨。前年も激しい雷雨に見舞われた経験から、主催者の好判断により被害は最小限に留まった。中断の最中もアーティスト達がファンとコミュニケーションを取ったり、室内ステージを盛り上げに行くなど、それぞれに今出来る最大限の事でこの日を作るという姿が”俺達が作るフェス”という意思を感じさせた。

 

雨も上がり待ち切れないオーディエンス。1時間ものの中断を挟んだが、再開第一声は河内が名曲『TSUNAMI』の”思い出はいつの日も雨”の部分を歌う粋な計らい。繋げたラスト1曲で、止まった時間が動き出す。中断を挟んでしまったピンチが、このフェス全体の空気をより一丸とする。ここからの全出演者による怒涛の展開が、この日の時間をより濃密にさせた。
ライブは[BYEE the ROUND]へ。Vo松山が「俺らバンドマンがお前らを最高の気分にして帰してやるからよ!」と宣言。「負けたらアカンやろー!」と熱い気持ちを前面に押し出たライブで、続くアーティスト、オーディエンスの気持ちも更に熱くさせる。続いて[a flood of circle]へ。Vo佐々木の「ロックンロールの時間だぜ!かかって来い!」のシャウトからスタート。古き良きロックンロールの魂とダンサブルなビートを融合した音楽が、フロアを突き上げていく。貫禄のステージで[UPLIFT SPICE]へ。重厚なサウンドの上で、このフェスでは数少ない女性Vo千織の声が突き抜けていく。始まりの瞬間からモッシュ、ダイブの連発でフロアも沸点に。「うちらとあんたらで世界を変えるんやろー!!」とオーディエンスを引っ張り、『Omega Rhythm』ではダイバーの波。フロアの温度を更に上げていく。、
そしてRIGHT STAGEは”場末ポップ3ピースバンド”[バズマザーズ]へ。スピード感のあるテレキャスターシンラインの音と、加速するビート、スリリングな楽曲の持つパワーがフロアに突き刺さる。「フェスには開放的になった女子が沢山います。男性諸君、ドンドンアタックしましょう。健闘を祈ります。」とVo山田の先輩からのアドバイス(笑)も飛び出し、続く[八十八ヶ所巡礼]へ。カオステック、妖しさ、丁寧に作り上げられた大胆さを持つ楽曲も、どこかチャーミングな魅力を持つマーガレット廣井(Ba.と歌と主犯格)が歌うとポップソングになる。「お前らに愛国心はあるのかー!」や、日本一のポップソングである『君が代』も歌いだし、やりたい放題で強烈な印象を残した。
 打って変わってVo千野の優しくも儚い声が光る[GOOD ON THE REEL]。メランコリックやセンチメンタルさという言葉が浮ぶ、情景の見える音楽が夕焼けに映える。前年では大トリ前を務めた彼らのスケール感は更に大きくなり、左右のステージの垣根を超え、会場全体から上がる手が印象的だった。

ライトアップされたLEFT STAGEに上がるのは[AJISAI]。去る6月7日のライブで活動を休止していた彼らは、この日室氏の計らいによりもう一度ステージに立った。フェス前のインタビューで「バンドが辞めていく事が1番辛い」と語っていた室氏。バンドと室氏の歴史、信頼関係が伝わり、会場全体に温かな空気を生む。丁寧に、慈しむように奏でられた演奏と、爽やかな風の様に会場に広がるVo松本の声。ラストに演奏されたのは「終わりは無いさ ここがスタートだよ」と歌う『未来』ムロフェスがムロフェスたる所以。室氏のバンドへの愛が象徴された素晴らしいステージだった。
そして、レインボーブリッジが輝きを増す中この日も佳境。大トリ前のグッドモーニングアメリカへ。Baたなしんのお馴染み出演者参加の”レインボーブリッジ封鎖寸劇”で会場を和ませてから、グドモ的コールアンドレスポンス「1、2、3、ファイヤー!」から演奏スタート。「オークレストと出会えなかったら、今の僕らは無いと思います。」と言い切る言葉のままに、この日に懸ける強い思いが表れた熱いライブ。『未来へのスパイラル』ではオーディエンスとのシンガロングで会場を1つにしていよいよクライマックスへ。
最後を締めるのは”自称ロック界の奇行師”『アルカラ』へ。Vo稲村が「(オリンピックの会場の関係で)ここで出来るのも最後になるかもしれない。だからこの曲を。そして、(旅立つ)AJISAIへ」と語り『ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト』からライブが始まる。続くスリリングな展開でフロアを沸かせ、会場は最高潮の盛り上がり見せる。本編ラストはバラードの『秘密基地』日も暮れた涼しげな空気、数々のライブの余韻、バンドへ、オーディエンスへ、そして、友人でもある室氏への愛が伝わる。そして、アンコールは出演者総出の『交差点』。華やかな幕切れで、この盛大な”オークレスト期末試験”を締めくくった。

閉幕の挨拶では、毎年恒例室氏による涙を流しながらの全ての人への感謝の言葉。「みんな良いライブだった!!」と涙を流しながら叫ぶ室氏を愛さない者はいないだろう。沢山の歓声と拍手と笑顔がそれを証明していた。
途中雷雨にも見舞われたが、運営による見事なチームワーク、ライブハウスで育った百戦錬磨のバンド達、そして、熱いオーディエンス達だからこそなし得た素晴らしい1日だった。また来年の開催を約束し、熱い熱い夏の1日は爽やかな余韻を残し幕を閉じた。

【屋内ステージ】
去年から1ステージ増えての3会場での開催となったムロフェス
TSUTAYA O-Crest 店長室氏が主催するライブハウスから野外へ、そしてそこからさらにまたライブハウスへという思いを掲げ今年で3回目を向かえるイベントである。

今回はそのうちの一つ室内にある RAINBOW STAGEの模様をお伝えしよう。
まずこのステージの特徴は最高のロケーションにある。
東京晴海埠頭客席ターミナル4階多目的ホール内に位置する会場はステージ後ろに大きな展望窓があり、レインボーブリッジやお台場のビル群などを一望できる。さらに野外イベント特有の沈んでいく太陽が起こす自然の演出も体験する事ができるという他に無いシチュエーションなっている。
また窓から差し込む光が時に逆光となりステージを幻想的な雰囲気に包み込むし、夜にはビル群の明かりがイルミネーションをバックにライブを見るような豪華さも出してくれる。

そんなステージ、今回のトップバッターは「全く新しい日本語ロックミュージック」を掲げる[Liaroid Cinema]。フェスのトップに相応しく、始まりを待ち構えていたファンの気持ちを代弁するかの様な、これでもかと言わんばかりのエネルギーが爆発したアグレッシブなライブ。
さらにライブ途中に、サプライズで新メンバーの発表もあり勢いづいたライブはより加速する。
ほかの共演者もステージ袖からオーディエンスをあおりダイブするというムロフェスならでの一面も見せ、申し分ない形でスタートの狼煙をあげた。
2組目は[Halo at 四畳半]
今回出演バンド最年少の彼らだったが、そんな事を全く感じさせない地に足をつけたライブを披露。二組目にして既に満員のフロア。入り口付近で人が詰まってしまっているのに対しMCでbassの白井が「後ろの人まで全部見える様に、もう一歩ずつ前へ」とオーディエンス全体に呼びかける優しさも見せる。「このステージに立つのが夢だった」とvo渡井。しかし若さの勢いだけでは無くしっかりとした実力と躍進力を感じるステージは堂々たるものだった。
続いては[ウラニーノ]の登場。昨年3年半ぶりのアルバムを発表した彼等。その中から『愛してる』でライブスタート。決して”ドストレートではないが、飾らない言葉”で綴られた歌詞と懐かしさのある、でも古さを感じない音楽で独特の世界を作っていく。終盤ではメンバーが主催者である室氏や、同時刻に野外のLEFT STAGEに出演していた[SUPER BEAVER]のDr藤原氏のお面を被り演奏、そんな彼等のエンターテイメントに溢れたライブにオーディエンスもしっかり応え笑顔を見せつつ最後はフロアとステージ全体での合唱を巻き起こした。

そんな雰囲気をそのままにbass村田の茨城なまりのMCでスタートした[真空ホロウ]。
が、音が鳴った瞬間に緊張感のある彼等の空気が会場を覆う。3ピースバンドとは思えないほど多彩な音色、また大型フェスで自身らが出演するステージのトリを勤める実力は圧巻。再び超満員のRAINBOW STAGEのフロアは熱気に包まれる。「昨年のムロフェスで雨が降り出した事を理由に室内に押し込められた」と自虐ネタで茶目っ気を見せつつ、vo松本の「さあ跳ねようか」の言葉を合図に演奏した『闇に踊れ』では文字通りフロア全体が揺れるほどオーディエンスが飛び跳ねる盛り上がりを見せた。
5組目は屋内唯一の女性ボーカルバンド[ecosystem]
ハスキーかつ伸びのある声、オルタナ、プログレなど様々なジャンルのロックを取り入れた演奏陣とでカラフル且つキャッチーに表現する。
MCでvo壺阪が「またライブハウスに来てな!その為のムロフェスやから!!」とこのイベントの目的でもある部分をストレートに伝え『カタルシス』を演奏。独特な語り口調のメロ部分と軽快なリズムに乗せたキャッチーなサビで場内を包んだ。

ここで野外の2ステージは突然の雷雨によって中断を余儀なくされる。
そんな中登場の[chaqq]
外の憂鬱な空模様とは正反対の突き抜ける様な爽やかなメロディーと熱い演奏でフロアの熱をあげる。共演の[アルカラ]のvo稲村,[グッドモーニングアメリカ]bassのたなしんもフロアへのダイブを披露。雨での中断で下がりそうなオーディエンスのテンションを、一丸となって盛り上げようとする気持ちが伝わってくる場面であった。
悪天候すら味方に付けた[chaqq]。しかしながら彼等自身の熱い気持ちのこもったライブそのものもしっかりとフロアに届き代表曲の『RUNNER』では最後尾まで手が挙がるライブになった。
そして引き続き外は雨の中[ラックライフ]の登場。
vo PONはフロアの一人一人に話しかける様に顔を覗き込みながら歌う。「大切な曲を歌います」と語り、『その手とこの手』でしっかりとメッセージを伝える。ライブ開始時に「あの雨雲を吹き飛ばす様なライブをします」と言い放った彼等の最後の曲は『ハルカヒカリ』。この会場の特徴でもあるステージ後ろの大きな展望窓から徐々に”太陽の光”が差し込むという、奇跡の様な自然の演出を背に最新シングルのバラード曲をしっかりと歌い上げた。
8組目は2014年7月にメジャーデビューを果たした今勢いに乗る[THE ORAL CIGARETTES]が登場。
フロント陣全員が身を乗り出してオーディエンスに音をぶつけ、bassのあきらかにあきらは幾度となく足を振り上げる。そんなアグレッシブなライブパフォーマンスと共に『Mr.ファントム』や『起死回生STORY』等の激しいナンバーを立て続けに披露。空調のある屋内ステージにも関わらず、客席は汗が流れ落ちるほど熱狂という今のバンドの勢いそのままの激しいライブを見せつけてくれた。

そんな中さっきまでの雨も上がり、空も夕焼け色に染まり始めてきた頃、9組目の[plane]が歌いだす。
voキクチの「夏の曲を」の一言から始まった1曲目は『花火』
この時間のシチュエーションにぴったりな夏の残り香や情景を思い起こさせるこの曲は、さっきまで激しいライブがあった事なんて微塵も感じさせないどこか寂しくて暖かい雰囲気に会場を包んでいった。
しっとりと聞かせつつも終盤の『100年後の僕らへ』では激しい一面も見せたりと安定感のあるライブであった。

終盤に差し掛かり、ここで登場するのが最近はアジア圏にまで活動の幅を広げ始めた[HaKU]
KONAMIアーケードゲーム jubeat とのコラボMVで話題の曲『think about you』でライブスタート。vo辻村の独特のハイトーンボイスが描く世界観を圧倒的な演奏力で繊細且つパワフルに奏でる演奏陣。ダンスギターロックと言葉にしてしまえば簡単だがそれだけではない楽曲の持つ奥行きをライブパフォーマンスの中全員で体現。ラストの『everything but the love』では会場全体がサビ部分で拳を上げて歌う一体感を作り上げた。
そしていよいよオオトリの[HERE]。現在[I WANA EAT YOUR CHAOS]のリリースツアー真最中の彼等。サウンドチェック時から本番さながらに演奏、vo尾形の「ハイテンションまでもう少しです、しばしお待ちを」の言葉でステージを一度去ると、SEからライブスタート。約束通り一音目から過剰なまでのハイテンションぶり。序盤にメンバーとの接触でギターにトラブルが発生したものの、そんな事無かったかの様な過激な衣装、過激なパフォーマンス、過激な楽曲の波状攻撃。『感情超常現象』『死ぬくらい愛してる、馬鹿みたい』の代表曲を披露しアンコールまで完走。後ろの夜景がかすんで見える程に自身で語った「そこら辺のロックでは無い、特ロック」を示してトリを飾った。

RAINBOW STAGEに出演したどのバンドも「外の2ステージに負けない空間に」とライバル心はむき出しながらも

「ここがきっかけで次はライブハウスに!」

という気持ちで主催者と出演者、スタッフが一つになっていた。
帰り際口々に”来年も楽しみ、次はあのバンドのライブに行ってみよう”と語り合う声が来場者から聞こえた。
そんな疲れながらも充実した顔で帰るオーディエンスを見てるとその思いはしっかりと伝わっているのだと確信できるイベントだった。

[TEXT by ひでやん(屋外ステージ), マエガキ ユウダイ(屋内ステージ)]
[PHOTOS by Official Photographer]



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