海外から一戦級の猛者を迎え激突するライヴシリーズ
coldrainが仕掛ける激音のガチンコ祭りがついに始動!!

　今年2月には日本武道館公演を大成功させ、現在は昨年に行った［FATELESS JAPAN TOUR 2017］で訪れることができなかった32県に加え、北海道5ヶ所のライヴハウスをまわるロングツアー［ANOTHER DECADE IN TE RAIN TOUR 2018］の真っ最中であるcoldrainが、海外からの猛者を迎え、2マンで激突するライヴシリーズ［LOUD OR NOTHING］を始動。まずその第1弾として、アメリカからポストハードコアバンドCROWN THE EMPIREを招き、東京・恵比寿LIQUIDROOMと大阪・梅田TRADにて開催された。
　両会場共にソールドアウトではあったが、その初日となった恵比寿LIQUIDROOMは生憎の雨模様。オーディエンスの出足も鈍いことが予想されるところだが、coldrainの心意気を受け取った熱心なファンが早い時間から詰めかけ、スタート前から会場は熱気で包まれていた。
　最初に登場したのは、CROWN THE EMPIRE。16年にRISE RECORDSのジャパンツアーで来日し、17年にはONE OK ROCKのヨーロッパツアーに同行したこともある実力派バンドではあるが、当然のことながら初見のオーディエンスも多いはず。だが、そんなことを微塵も感じさせない熱狂を序盤から描いていく。

　まずは新曲『20/20』で口火を切り、アンドリュー・ヴェラスケス(Vo.)の「ロックンロールを楽しもうぜ！」という言葉から、矢継ぎ早に『Zero』、『Prisoners of War』や『Memories Of A Broken Heart』といった強烈なナンバーを投下。アンドリューに加え、ヘイデン・ツリー(Ba.)も切り裂くようなシャウト、ブランドン・フーバー(G.)は激しく体を振り乱しながらギターをかき鳴らし、ブレント・タディ(Dr.)は揺るぎないリズムでサウンドを支え続ける。その躍動っぷりに、フロアは待ってましたと波打ち、大きな歓声は留まることを知らない。様子見するオーディエンスなど存在せず、眼前に広がる景色、耳に飛び込む音、体に響く振動をすべからく受け止め、それ以上のエネルギーをステージへ返そうとしていくのだ。
　イントロが鳴った瞬間からハンズクラップが巻き起こり、とてつもないヘヴィさとしなやかな展開で魅了した『Voice』、スケール感の大きなロックを鳴らした『Millennia』とさらにアクセルを踏み込み、高ぶったアンドリューが上着を脱ぎ捨てて叩きつけた『The One You Feed』はもはやクライマックスかと思うような盛り上がり。ダイバーも続出するほどの激しさも魅力的ではあったが、その曲自体が持つ求心力が素晴らしかった。

　終盤になってもそのエネルギッシュさが衰えることはなく、一度メンバーが袖に捌け、より踏み込むべく戦闘態勢を整えてからの『Initiation』で荒々しく攻め立て、締めくくりは甘美なアンドリューの歌声からアグレッシブに畳み掛ける『Machines』。パンパンに膨れ上がった会場を手中に収めたと言っても過言ではない、見事なパフォーマンスであった。

　本シリーズの首謀者であるcoldrainは、Masato（Vo.）の咆哮からとんでもない勢いで放った『VENA』で素晴らしいスタートダッシュを決め、続く『WRONG』も恐ろしいほどの熱狂を生み出していくのだが、まだまだイケるだろとオーディエンスをアジテートしてからの『EVOLVE』がまだ凄まじかった。キレッキレのシャウトをMasatoが繰り出せば、Y.K.C(G.)やSugi(G.)もフロアへ襲いかかるようなプレイを見せる。それに負けじとオーディエンスもこれでもかと飛び交い、高く拳を突き上げていくカオティックな様相。

　序盤とは思えない熱気の中、「お前らの番だぜ、東京！」とMasatoに誘われ、オーディエンスが大合唱した『FEED THE FIRE』、爆撃機のような突進力でインパクト大な『NEW FATE』と当たり前のように攻め手は緩めない。ツアー中ということもあってか、バンドのコンディションの良さが伝わってくる。
　そこからもっと駆け上がるべく、ドラマティックに歌を響かせる『DIVINE』で勢いをつけ、『TIME BOMB』では曲終わりに思わずMasatoが「最高だな、お前ら」とこぼすほどの盛況っぷり。ステージとフロアの共鳴がどんどん大きくなっていく。
　ここで本シリーズへの想いを語るMasato。CROWN THE EMPIREが鳴らした1曲目に対するフロアのリアクションを受け、このシリーズを続けていくと決めたと宣言し、Warped Tourでお世話になったCROWN THE EMPIREへの感謝を踏まえて「日本で10年以上、築き上げてきたモノを見せつけたい」と、その高まる気持ちを力強く言葉にする。
　そのマインドを受け取ってからの『ENVY』は、驚異的な狂乱になるのも当然だろう。天井知らずの激しさを見せるフロア。『24-7』では大きなW.O.Dも出現し、怒涛の勢いで『PERSONA』へなだれ込む。感情を爆発させ、ド迫力なサウンドと包容力がたまらない『THE WAR IS ON』を鳴らし、「周りに何と言われようと激しい音楽が好きなお前らに贈るよ」とMasatoの言葉から『FIRE IN THE SKY』。ここにきて、またギアを上げるバンドの底力。オーディエンスはそのサウンドと同化し、常軌を逸したかのような状況だ。
　その壮絶極まりないフロアへ「日本流のサークルピットを見せてやろうぜ！」とMasatoが焚き付けて『F.T.T.T』をプレイし、ラストはそのダイナミズムで圧倒的なパワーを見せつける『THE REVELATION』。観る者すべてを飲み込むような圧巻のステージだった。

　そして、大きなハンズクラップに呼び戻され、「11年目になりましたけど、まだまだやっていきます。ラウドロックを知らしめる為、それを使命だと思って、ライヴハウスでもフェスとしてでも、このシリーズをやっていく」と改めてMasatoが表明し、アンコールとして『NO ESCAPE』と『FINAL DESTINATION』を投下。会場全体が揺れるほどの一体感が生まれ、素晴らしき日を見事に締めくくった。
　また、本シリーズ［LOUD OR NOTHING］は第2弾として、オルタナティブなロックとエレクトロをマッチングさせ、レディング・フェスティバルやコーチェラにも出演を果たしたPVRISを招き、6月に名古屋と東京にて開催されることが決定している。今後、より大きな存在感を放つであろう、本シリーズ。そちらも是非注目していただきたい。

［TEXT by ヤコウリュウジ］
［PHOTOS by ヤマダマサヒロ, SOSHI SETANI］