BUZZ-ER.
BUZZ-ER.~Lantana Tour 2021~
【Shooting Act : ALL IN】
2021.12.19 sun at 東京・品川プリンスホテル ステラボール
open 16:00 /start 17:00
レトロモダンな雅で魅せる
全国7都市ツアーファイナルレポート
平日ならサラリーマンが多い品川駅前。クリスマスを1週間後に控えた師走の日曜日というのもあり、ファミリーや街ブラ風なカップルたちの姿が圧倒的だ。街全体がちょっぴり浮かれているようでも。駅前のホテルやショッピングモールを抜けて会場のステラボールに近づくと、明らかにファンだと分かる人々の姿が目につき始める。若い女子が大半だが、子ども連れ家族などもチラホラ。11月20日(土)に福岡からスタートした7人組メンズダンスボーカルグループ、BUZZ-ER.(ブザー)の全国7都市ツアー[BUZZ-ER.~Lantana Tour 2021~]。11月にリリースされた初のメジャー1stフルアルバム[Lantana]を引っ提げたツアーのファイナルが、この日。長らく応援してきた老舗ファンはもちろん、メジャーデビュー後の新しいファンまで全員集合といった様相で、会場に一歩足を踏み入れた途端、12月とは思えぬ熱気が渦巻いていた。
開演前からブラック・アイド・ピーズのアッパーチューンが鳴り響き、会場内にはパーティムードが溢れている。と思っていたら、17時きっかりにリーダーSAKUによる姿無しの注意事項アナウンスがスタート。これが突っ込みどころ満載で、本人も途中で何度も投げ出しそうになり爆笑。この気取らないアイドルぶりも、彼らの魅力のひとつと言えそうだ。
だが10分後に開幕すると、さっきとは打って変わってピシッとキメまくった7人が颯爽と登場した。黒のダンディなスーツの上下に蝶ネクタイ。燕尾服がモチーフのデザインだと、コスチュームを手掛けたSHALFからのちに明かされたが、ステージセットも赤絨毯が敷かれた大階段、とびきりゴージャスなシャンデリアなど、かつての上流階級のパーティを彷彿とさせる設定だ。そのレトロなオシャレ感覚はヴィジュアルのみならず、BUZZ-ER.の音楽性にもリンクする。ストリートやヒップホップ系など、どうしても新しいものに飛び付きがちななかにあって、彼らのノスタルジックな方向性は、とても斬新でユニークに映る。オープニングナンバー『B LIKE U』の昭和初期のブギーな感じ、続いた『Feel Good』のタップを取り入れたダンス。もちろんラップやEDMなどの現代的な要素も取り入れられているが、温故知新のスタイルが打ち出されており、巷のK-POP系のダンスボーカルグループなどとも明らかに一線を画している。クリスマスを目前にしたこの日はマライア・キャリーの 『恋人たちのクリスマス』のカバーや、ダンスナンバー、メンバー紹介などを挟みつつ、前半は彼らのメジャーデビューアルバム[Lantana]を中心に披露。メジャーデビュー曲となった『サクラエビデンス』は、とりわけダンスシークエンスがしなやかで、安定感が抜群だった。まとまりのある歌とダンスは、彼らの真骨頂ではないかという気がした。
ここで一旦彼らは下がると、シューティングアクトのALL INが登場。BUZZ-ER.が開催したオーディションによって選ばれた5人組のダンスボーカルグループ、彼らの弟分が初ステージを披露した。白いコスチュームが初々しくもあった彼らは、『Never Go Back』と『Only U』の2曲をパフォーム。大きな拍手とペンライトでBUZZ-ER.のファンからも好意的に迎えられていた。これをきっかけに様々なシチュエーションで見かけることになりそうな彼らにも、今後の活躍が期待される。
ALL INの後、再びBUZZ-ER.の7人がステージに戻ると、今度は多様なスタイルのジャケット、ジャンパー、ウエスタン風など、それぞれが異なるスタイルの衣装にチェンジ。メンバーひとりひとりが自分たちの個性を大切にしているのは、最新アルバム[Lantana]からも明白だ。彼らの動きもいっそう軽快で伸び伸びとしているように思われた。『Burn In Burn Out』からスタートして、次々とノンストップで披露。曲間にラップやダンスブレイクなども挟みつつ、息をもつかせぬ展開で畳みかけていく。アラビックなアレンジが妖艶なムードを醸し出した『HIT ME!!』では、より力強いダンスを披露。マスキュリンな一面を垣間見せた後、お祭りムードの『B>EVOLUTION』でパーティは一旦最高潮となった。
今回のツアーでは、メンバーが一発芸を披露するのがお約束らしく、2度目のMCタイムでは、ゆる〜いオフザケが満載。和気藹々とメンバー同志が仲の良いところもたっぷり窺えた。また改めてSHUNがプロデュースを手掛けたALL INに対する思いを語ると、続けて今度はSAKUがBUZZ-ER.の夢について語っていたのが印象的で、かつての自分たちの姿とALL IN とを重ね合わせているんじゃないかと思われた。「夢は見るものではなく、叶えるもの」との信条を訴えてから、そんな願いを込めたバラード『will』へと続けられた。
終盤戦は、『CAN YOU FEEL IT?』や『CATCH THE DREAM』などファンにとってはお馴染みの人気ナンバーを投下して、これでもかとばかりに上げていく。後者の途中からはALL INのメンバーもダンスで応援参加。華やかなハイライトが生み出された瞬間だった。また本編ラスト曲『ヘルプミー!』では、複雑なダンスやルーティンがふんだんに盛り込まれ、洗練されたミュージカル風の見せ方も彼らの醍醐味なのだと痛感させられた。それこそステージ前方のファンは、大迫力だったに違いない。
アンコールでは再び衣装チェンジで登場。紫色のコスチュームは、それぞれが少しずつ違ったスタイルで、統一感をキープしつつも各メンバーの個性が際立っているのは、やはり7つの個性をもった[Lantana]のようなグループでありたいという意志の表れだろうか。ラストスパートというので、全員かなりリラックスした様子で、それぞれが笑顔を浮かべながらも全力投球。爆笑ネタ満載の『BLACK or WHITE』、ビートボックスや手拍子から始まった『ブザービーター』、三たびALL INも登場して入り乱れた圧巻のラスト曲『HONEY>BEAT』まで、ここぞとばかりにサービス精神を発揮。来年7月には、結成5周年を記念した最大規模のワンマンライブの予定も発表されて(豊洲PITにて開催)、いっそう大きな夢に向かって邁進中の彼らの姿が、とにかくキラキラと眩しかった。
[TEXT by 村上ひさし]
[PHOTOS by nishinaga “saicho” isao]