AIR JAM 2011
2011.09.18 sun at 横浜スタジアム
Open 10:00 / Start 11:30
旧暦では秋と呼ばれる9月。まだまだ夏は終わってはいなかった。
私達の夏は、今日のこのイベントが終わるまでは夏のままだ。
―あの伝説から気付けば11年である。
Yahoo!ニュースを見て、何度か目を擦り何度も見直した人も少なくないだろう。そう、AIRJAM2011開催とHi-standard復活のニュースは、元気が無かった日本に元気を届けてくれた。
音楽シーンの中で、この11年間での3大ニュースを上げてくれと言われたら、間違い無く”AIRJAM2011開催”と”Hi-standard復活”がTOPを争うに違いない。
「この日が来るのを待っていた!夢は、寝て見るものでは無く、起きて見るものなんだ!」とAIRJAM2011が開催された横浜スタジアムへ向かう足と心がいつもよりソワソワしている。
まさに快晴と呼ばれる雲ひとつ無い空にそびえ立つゲートに大きく”AIRJAM2011″の文字が書かれ、そのゲートを潜ると2つのステージが待っていた。
電光掲示板にカタカナで書かれた全バンドの文字を見て、懐かしさを感じ、ステージに屋根が付いている事に時代の変化を感じる。
まるで乱反射の様に沢山の人の様々な想いがぶつかり交差し、気が付けば11年という月日が流れ、その想い全てを包み込み9月18日という日を迎えたであろう主催者であるHi-standardは、この年月の流れを色褪せる事無く、後者に語り継がれ伝説として…いや、常に現在進行形であったその名前が電光掲示板に再び書かれているのだ。
ふと見ると走り回る子供の顔や腕にAIRJAM2011のフェイスペイントが書かれている。
嬉しそうに走る子供を追いかけ、生まれて間もない子供を抱えたお母さんに話を聞いた。
「昔、AIRJAMに来て『次は三人で一緒に来ようね』って言ってたんです。その時は、お腹の中に子供がいて、後ろの方から見ていました。子供が生まれて、気付けば三人目がお腹の中にいる時、AIRJAM開催のニュースを知ってチケットが取れるようにってずっと願っていたら見事当選して来ちゃいました!夢って叶うんですね。本当にありがとうって言いたいです。」
今回、主催者側のアツい想いが実現し設けられたファミリーゾーンというものがあった。
スタンディングの後ろ側に設置されたゾーンではあるが、沢山の子供連れの姿が見えた。
子供連れのファミリーの為にフェイスペイントや、おもちゃの設置、オムツやミルクの用意があり、ベビーカーを無料で預かってくれるサービスがあり、子供連れのお母さん方には好評で私達の為にこんなに配慮してくれるフェスは初めてという声が多々聞こえて来た。
私も子供を連れてフェスに行った事があるが、本当に大変だ。
外で長時間子供の機嫌を取りながら、旦那は子供そっちのけでライヴを楽しむ。
天気もいいし、子供以上にぐったりして帰るのが大半のお母さんだと思っていたが、ふと見るとキッズカフェというものがあった。
沢山の椅子が用意されていて食事を取る事が出来、しかもエアコン完備なのだ。
こんなフェス初めて!なんとお母さんに優しいフェスなんだ!と周りを見渡すと奥にマットがひいてあり、沢山のおもちゃが用意されていた。
そこで子供達は子供達なりの交流があり、お母さんは休憩出来、しかもカフェを出る時にお菓子がプレゼントされている。
お母さんにも子供にも嬉しい!!
私は知っている。
フェスでいかに子供の機嫌をとるかという作戦を。
つまりは、いかに帰ろうと言わせないかにかかっている。
大人の都合だという事は知っているが、音楽好きのパパママは長年この問題に頭を抱えてきたはずだ。
ふと見ると、子供が大好きなものが売っているのだ。
“お菓子”
ついつい高いと思いながらも…大人の事情で買ってしまうという何とも普段では考えられない出血大サービスがそこで起こる。
しかし…無料で配っているではないか!
全国のママの長年の悩みを一気に解決してくれるのは、主催者側の細かな気遣い1つ1つに見られた。
更にママの悩みを解決しただけでは無いのが今回の注目すべきポイントである。
なんと…物販が無いのだ!
ライブやフェス好きのファンの長年の悩みである”物販並び長蛇の列”の解消をと今回グッズは全て通販のみで行うというこれまた他のフェスでは考えられない位に今回来てくれるファンの為に最初からステージを見て欲しいという心遣いにただただ感心させられるばかりであった。
AIR JAM 2000では物販ブースに長蛇の列が出来、最初から見たいけど物販も欲しい!とファン心を全て解決する策に出たのだ。
AIRJAMに欠かせない磯部正文、SCAFULL KING、BRAHMANに続き10-FEET、Pay money To my Pain、FACT、LOW IQ 01 & MASTER LOW、TURTLE ISLAND、WAGDUG FUTURISTIC UNITY、the HIATUS、マキシマム ザ ホルモンが勢揃いし、更に海外からME FIRST AND THE GIMME GIMMES、MURPHYS LAWがこの日の為に集まった。
中でも、BRAHMAN TOSHI-LOWの『いつもはライブが終わったら死んでもいいと思ってたけど、今日だけは次のバンドがみてぇ』この一言に涙したファンは少なくない。
そしていよいよHi-STANDARDの登場である。
“Stay Gold”のイントロが流れ、会場は大きく大きく揺れ大合唱が始まる。
この11年という年月をずっとずっと心待ちにしていた会場の全てによるステージの始まりに
横山が言っていた『俺達、日本の為に集まった』という言葉にもあった様に、今回の収益は全て来年の東北でのAIRJAMを開催する費用に充てるという。
3人がステージを降り、”Mosh Under The Rainbow”がSEとして流れ、会場はサークルモッシュと共に大合唱。
ファミリーゾーンでは、子供達の吹いたシャボン玉が会場を埋め尽くし、様々な想いと共に高く飛んで行った。
名残惜しいファンの姿を見てか難波が再度ステージへ現れ、ファンにピックをプレゼントしているパパの姿を追いかけ、難波の子供達が後を追いステージに現れ、子供達に目線を合わせながら手を繋ぎステージを去った。
こうして9時間半というAIR JAM 2011は幕を閉じたのである。
『子供の手を離すな』そう言った難波のアツい想いが届いたのか帰り道、子供と手を繋いで帰る親子連れを沢山目にした。
隣に居る人を大切にするという日本人本来の優しさを再度身にしみて感じる事が出来た感動するフェスとなった事が何よりも嬉しかった。
2012年、東北での開催を今から心待ちに復興へ向けての一歩一歩を確実に歩み出している全てに届け!
Text by オオタニヒトミ