チームしゃちほこ
店長サミット!!! ~ありがとうを伝えきれてなくて~
2014.05.11 sun 中野サンプラザ
open 16:00 / start 17:00
“チームしゃちほこ、伝えきれてなかった「ありがとう」を伝えに、
アイドルの聖地中野サンプラザへ降臨”
チームしゃちほこのワンマンライブ[店長サミット!!!~ありがとうを伝えきれてなくて~]が開催された。
三月から始まった[Zeppツアー]や[Free Liveツアー]を経て、追加公演の位置づけなのか? 全く違う違う趣旨の公演なのか? 否が応でも期待が高まる中、会場に入るとステージの中央にセットされた机と椅子。やはり全く想像がつかない。
開演前の会場内には、高揚感、緊張感、はてなマークが充満しきったところで、”朝まで生テレビ”のテーマでおなじみの Hypnosis『Droid』の高らかなシンセブラスから公演がスタート! と思いきや、ステージが明るくなりいきなり”小坂大魔王”が登場した。”朝まで生テレビ”、”店長サミット”。なるほど!と気付き始めた会場。
平成ノブシコブシ徳井、はんにゃ金田、アイドルに造詣が深いコメンテーターが呼び込まれる中、アイドルのことはアイドルに訊け!と”元モーニング娘。”の保田圭が呼び込まれ、どよめく会場。最後にチームしゃちほこのマネージャーである店長こと長谷川氏が呼び込まれると、”緊急しゃちほこサミット!どうする!?どうなる!?チームしゃちほこ!”と題されたオープニングイベントが開催された。
その名の通り、チームしゃちほこの未来を各人がプレゼンし考えていくという内容で、徳井氏の「メンバー6人で家を建てる」、金田氏の「愛知出身の有名人とコラボレーションする」というふたつの案をもとにディスカッションが行われた。
保田圭の石橋貴明(とんねるず)とのエピソードや、5/11に先行配信されたチームしゃちほこ『いいくらし』のiTunes Store総合アルバムチャートの順位の発表(惜しくも『アナと雪の女王』関連の2作に敗れ、第3位)も時折楽屋と中継でつながったしゃちほこメンバーを交えて展開し、終始リラックスしたムードでオープニングイベントである”店長サミット”は終了。壇上の5人に客席から温かい拍手が贈られた。
暗転し、アッパーなBGMと共に片付けられていく椅子と机…そしておなじみの「人間50年、アイドル5年、尾張名古屋にしゃちほこあり」の口上と共に出囃子が。
アコースティックギターの優しい音色が胸に響き渡るダンス・ナンバー『マジ感謝』からの始まりだ。本編ラストが似合うこの曲が一曲目に来た意外さからか、客席からは「おお~」という声もちらほら聞こえた。伝えきれなかったありがとうを一曲目から伝えてくるとは、なんとも潔い。そこから『待つわ~DD大歓迎』、イントロに短めの自己紹介が加えられた『OEOEO』でリラックスムードだった会場を一気に八丁味噌色に染め上げていく。
新衣装の話などのMCはさんで一旦落ち着くかと思いきや、コールや歌詞をサンプラザ仕様に変えた『恋人はスナイパー』、伊藤千由李と坂本遥奈のダンスが冴える『ごぶれい!しゃちほこでらックス』、もはやアンセムとなった『首都移転計画』、各メンバーに見せ場がある『勝手にハイブリッド』を速射砲のごとく打ち込んでくる。手加減はもちろんなし、全力だ。ステージと客席の境目が見えなくなるほどの会場の一体感、これがチームしゃちほこの醍醐味だと改めて確認させられる。
続いてニューシングル『いいくらし』の話を交え、『いいくらし』の収録曲であり本公演が初披露となった『エンジョイ人生』から中盤戦がスタート。
『エンジョイ人生』はパンキッシュで疾走感のあるロックチューン。初披露とは思えないほど一糸乱れぬコールがガンガン入ってしまうキャッチーな楽曲。プログレッシブでスピリチュアルな『愛の地球祭』は相変わらず特異なオーラを放っていたし、ニューシングルのタイトルチューン『いいくらし』はシニカルな歌詞が20年前のクラブシーンを感じさせるアシッドなサウンドに映え超ゴキゲン。ダメ押しの『でらディスコ』では光り輝くミラーボールが回り、客席を照らしながら”でらディスコ”のコールアンドレスポンスで中野サンプラザは完全なダンスホールに。『でらディスコ』のハッピーなアウトロを経て照明がガクッと落ちると、暗闇の中に一人浮かび上がる秋本帆華。これは…彼女のソロ楽曲、『おっとりガールの憂鬱』だ。おっとりしているが故の苦悩としっかりしたいという切なる思いを訥々と歌い上げる秋本帆華。会場は彼女の推し色である赤いペンライトが揺れ、壮大なサウンドスケープとともに幻想的な空間を演出していた。曲の終盤、一瞬安藤ゆずが見えたか?と思えば、グループ内ユニットである安藤ゆずとストロベリー・グッバイ・フォーエバーズ(安藤ゆず、伊藤千由李、坂本遥奈によるユニット)が登場。秋本帆華の作りあげた世界をブチ壊しながら歌って踊ってセンターを奪い合う3人が最高に微笑ましい。そんなハッピーな空気からなだれ込んだ『大好きっ!』は多幸感という意味で本公演のピークだったかもしれない。ひたすら”大好きっ!”というワードを繰り返すサビを持つこの楽曲は、アイドルソングのど真ん中でありながら、トリッキーな楽曲が多いチームしゃちほこの楽曲群の中ではとりわけ存在感のある楽曲のように思える。このセクションでニューシングル[いいくらし]の楽曲が全て出揃い、ライブはクライマックスへ!というところで、大黒柚姫が神妙な面持ちで「大黒、ちょっと語りたいと思います」と語り始めた。
ライブリハーサルにて歌った『マジ感謝』で感情が入りすぎてメンバーみんなで号泣してしまったこと、順調に進んできているように見えてアウェイの
ライブも何度かあったこと、そして紆余曲折の2年間を経て辿り着く8/28の日本武道館公演…。普段はあまり見ることのできない表情で、大黒柚姫の言葉を噛み締めるメンバー。[~ありがとうを伝えきれてなくて]という公演名に隠されていた思いの点と点が結ばれていくような、そんな時間。
しんみりした空気を断ち切るような咲良菜緒の「お前らついて来れるかー!!!!」という煽りに会場は一瞬で沸騰。『乙女受験戦争』、『そこそこプレミアム』、『ピザです!』、『トリプルセブン』立て続けに披露された体が自然に動き出してしまう一撃必殺のキラーチューンで、会場は完全にひとつになった。
最後のMCでは各メンバーがファンに感謝を伝える中、安藤ゆずが感極まって泣き出してしまうという場面も。彼女の涙で、前述した点と点が繋がりこの公演の本当の意味が分かったような気がした。武道館というキャリア史上最大のキャパシティでの公演の前に自分たちがいる位置を知り、ここまで一緒に走ってくれたファンに改めてありがとうを伝えたい。なんのひねりもない表現で申し訳ないが、単純でありながらなかなかできないことのように思う。
そして秋本帆華の口から、夏にグループ初となるフルアルバムがリリースされるとのビッグニュースが!まだ詳細は一切決まっていないようだが…、彼女たちの止まらない勢いをさらに加速させるようなアルバムになるのは間違いないだろう。初のフルアルバムと武道館へ、勢いを止めずに向かっていけるよう『もーちょっと走れ』で、[店長サミット!!!~ありがとうを伝えきれてなくて~]は締めくくられた。前半のバラエティ感溢れるゲストのトークから後半のソリッドなライブパフォーマンス、笑いあり涙あり、あっという間の2時間半であった。
この日(5/11)は母の日ということでライブ終了後、会場のファンにサプライズで花のプレゼントがあった。彼女たちと一緒に飛んだり跳ねたりでくたびれたであろうファンに対して粋なプレゼントである。細かいところにもありがとうの心遣いが溢れた、素晴らしい公演だった。8月28日の武道館、はっきり言って歴史に残る一日になるだろう。
[TEXT by 斉藤伸也(ONIGAWARA)]
[PHOTOS by SOSHI SETANI]