H.I.P HAYASI INTERNATIONAL PROMOTION

LIVE REPORT

絢香

絢香 LIVE TOUR 2013 Fortune Cookie
〜なにが出るかな!?〜

2013.11.19 Tue 日本武道館
Open 18:00 / Start 19:00

約1年ぶりとなる全国ツアー。
「音楽を楽しみ、名曲から学ぶ」絢香の理想の学校にあるクラブ、遊音倶楽部のライブ!
支えてくれるファンに「ありがとう」の想いを伝えたい。

2013年11月19 日、絢香待望の日本武道館公演2日目が開催された。絢香初のカバーアルバム[遊音倶楽部〜1st grade〜]を引っさげての、ライブツアー。
ライブ当日、空には前日の満月が余韻を残してか、冷たく澄んだ神聖な空気が漂っていた。陽が落ちる時間で冬の訪れを感じる。寒空の中、武道館正面玄関では、絢香の分身、ちび香パネルがお出迎え。会場に詰めかけたファン達は、記念撮影に余念がない。センスの良さに定評のある絢香のツアーグッズだが、今回のテーマカラーである緑の水玉模様のTシャツを友人同士、親子で仲良く着ている姿が多く見られ微笑ましい。絢香のファンは、世代の幅が広く優しい雰囲気に包まれているのが印象的。ライブ開始5分前。仕事から直行して滑り込み、といった人も。もう間もなく開演!

定刻の19時。一瞬の静寂の後、耳慣れた学校のチャイムの音がライブの幕開けを告げる。絢香の登場を今か今かと待ちわびた観客が、次々に立ち上がる。ゆらゆらと水面のような幻想的な映像空間、緑色の閃光に包まれ、絢香が登場!メガネに黒のジャケット、といったコンセプトの学校を思わせる出で立ち。澄んだ声が、会場の空気を一変させる。まずは挨拶代わりに『Hello』を熱唱。2年間の活動休止後の復帰アルバム、『The beginning』からの1曲だ。早速、コールアンドレスポンスが繰り出され、のっけから観客を絢香ワールドに引き込んで行く。続いて、斉藤和義のカバー曲「歩いて帰ろう」を明るいアップテンポのサウンドに乗せて熱唱。曲の終わりと同時に大歓声と絢香コールの嵐。

「遊音倶楽部のライブへようこそ!!みんな元気?!」絢香の呼びかけに、「元気!絢香も元気〜?!」と応える観客。絢香は「元気〜!」と茶目っ気たっぶりに嬉しそうに笑う。そして、翌年発売予定のDVD撮影が入っている事を告げ「みんなも映るかもしれへんでー!たのむで!」と絢香が言うと割れんばかりの歓声が包んだ。
今回のライブツアーは、カバー曲11曲と、ファンから募った”TOURで聴きたい絢香の曲”上位5曲、絢香自身が選曲した曲とで構成された全21曲という盛りだくさんな内容。
「次はなにがでるかな〜?ってワクワクしながら、それぞれの楽しみ方で楽しんで行ってください!今日は一緒に最高の時間にするよ!OK?! 最後までよろしく!」と絢香が叫ぶと、会場のボルテージが一気に上がる。

ブルーやパープルの照明に切り替わり、ここからカバー曲タイム。『ロビンソン/スピッツ』『やさしさに包まれたなら/荒井由美』を優しく歌い上げる。『真夏の果実/サザンオールスターズ』の冒頭では、心地いい水の音が挿入される。音の心地よさとともに、絢香のファルセットの美しさがひときわ堪能できる選曲。『たしかなこと/小田和正』では思わず目頭が熱くなる。観客も吸い込まれるように聴き入る。囁くようなあたたかい声だが、力強い。さらに驚くのは、原曲の良さを残しつつ、全てが、「絢香の曲」として成り立っていること。
続くMCでは「自分の大好きな名曲ばっかりを歌えるなんて、なんて幸せなんだろう。」と感慨深そうに声を絞り出す絢香。「一旦みんな座る?これから長いからね。」と観客を気遣うことも忘れない。9名のバンドメンバー紹介を挟み、自身の曲に戻る。彼女にとっても大事な曲だという『夢を味方に』を披露。”夢とか希望の本当の意味はわからないけど 素敵な自分になれる魔法なんだと思う”という歌詞は、夢や希望にがんじがらめになっている人たちにとって、自分らしくいることを優しく後押しをしてくれるまさしく、魔法の言葉に感じる。
続いて、休養前のラストシングルでもあり、東京スカイツリータウンのコニカミノルタプラネタリウム天空での星空とのコラボレーションが話題の『みんな空の下』を披露した。胸に手を当て、丁寧におじぎをした後、一旦バックステージへ。
暗転し、壮大な宇宙を連想させるようなBGMが流れる。青紫色のスモークとゆらゆらと漂う四角に彩られたライトに照らされながら、再び絢香が登場。『タユタ/RADWINPS』をしっとりと歌い上げる。神秘的かつ不思議なサウンドと絢香の声が透明感を持って迫ってくる。そして『空と君のあいだに/中島みゆき』を披露。
つづくMCタイムでは、観客の「絢香—!」という呼びかけにひたすら「はあ〜い?」と答える、なんともゆる〜いやり取りが繰り返され、ついに絢香が「喋るで(笑)」と観客を制する場面も。
そして、ライブ中盤からは小編成で進行。活動休止中にカバーアルバムを作るなら絶対に入れたいとあたためていた曲で、デモ音源を録音した際も涙をこらえるのに必死だったという『瞳をとじて/平井堅』を一言一言思いを込めるように歌い上げる。続いて『はじまりのとき』『ツヨク想う』などバラード曲を連発し圧倒的な歌唱力を見せつけた。

暗転し、ビビットな光の演出と共に『Movin’ on without you/ 宇多田ヒカル』のイントロが流れると、観客は総立ちになり手拍子を始める。絢香の「盛り上がっていこう武道館!」の声と同時に、歓声が武道館に響き渡る。少しでもファンの近くにとステージを右に左に動き回り、ビートにのる絢香につられ、観客も体を揺らす。さながら、クラブのフロアのようだ。曲の終盤ではバンドメンバーにバトンタッチし、再びバックステージへ。
ライブが始まって1時間半。ステージも佳境に。
ピアノの音が静寂の中響き渡り、ステージが、青く海の中を漂っているような照明で照らされる。代表曲『三日月』の伴奏が流れると、拍手と歓声であふれる会場。光沢のあるスーツを身にまとった絢香がステージに戻り熱唱。伸びのある声、鳥肌がたつ。
再び、胸に手を当てて深く頭を下げ、「いつもほんとにみんなの笑顔にたくさんパワーを貰ってるので、感謝やなあ、と思って歌ってました。いつもほんまにありがとう!」と感謝を述べた後「みんなの笑顔のおかげで生まれた曲。みんなにお返しするような想いで歌います。」と話し、活動再開後初のシングルとなった『beautiful』を披露。復帰後のツアー後に抜け殻だった絢香自身のパワーとなったファンの笑顔。”信じてくれるあなたがいるから歩ける”の歌詞がリアルに胸に迫る。
「武道館、まだまだ行ける?!」という絢香の声に、会場は再び熱気に包まれる。勢いにのって、『LA・LA・LA LOVE SONG/久保田利伸』『シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜/Mr.Children』、ファンと一体となり、大合唱となった『WINDING ROAD』を歌い切り、ここで本編は終了。「ありがとう!」とステージ去る絢香。

鳴り止まない拍手とラストソングの『WINDING ROAD』の合唱、絢香コールでアンコールをせがむ観客の声に応えて、絢香が再登場。改めて感謝の言葉を伝えた。そして、16歳の時に書いたデビュー曲『I believe』をピアノの弾き語りで臨む。全てがパーフェクトだった。広い武道館に、絢香の声だけが響き渡った瞬間は身震いする程。一心に歌を聴いていたファンも、暫く余韻に浸っていたのだろう、はっとしたように拍手を送る。拍手の音が次第に大音量になる。そして、再びバンドメンバーを呼び込んでの演奏へ。メンバーはそれぞれ思い思いにツアーグッズを身に纏い、ハイタッチをしたり、フォーチュンクッキーを絢香に渡すなど、笑いにあふれる登場をみせてくれる。
記念撮影まで終えると、「何回言っても言い切れへんけど、、ありがとう!」とファンに対する溢れる感謝の想いを懸命に伝えた。「ありがとうが人を通して優しい光になって、どんどんどんどん繋がっていったらいいなと思って。今みんなが一番ありがとうを伝えたい大切な人を想いながら聴いてください。」と前置きし、先頃リリースされた配信限定シングル『ありがとうの輪』を、心を込めて披露した。曲の終盤、会場全体にきらきらと銀色の紙吹雪が舞落ち、幻想的な銀世界がラストを盛り上げる。この二度とない一瞬が、スノードームに閉じ込められたようだった。

絢香は、胸に手を当てて深いお辞儀をする。心からのお辞儀。その姿に、絢香の会場に来ている1人1人への感謝が感じ取れる。何度もありがとうを繰り返し、「また、絶対逢いましょう!」と力強くファンに投げかけ、会場の隅々まで手を振りステージ袖に吸い込まれていった。

約2時間半というボリュームのあるライブだったにも関わらず、優しく、清々しい気持ちで武道館を後にした。絢香が何度も口にした「ありがとう」の感謝の想いは、想いを受け取ったファンを通して広がっていくのだろう。熱気と優しい空気に満たされた武道館が、不思議と大きさを増して感じた。

[TEXT by RIE SUMI ]
[PHOTOS by TEPPEI KISHIDA]



先行発売TICKET

ただいま先行発売中のチケットはありません

PAGE TOP