40年分の素顔もたっぷり
自由なトークで愉しませたバースデー

　3連休の中日となった土曜日、二子玉川といえば親子連れで賑わうファミリータウンのイメージがあるけれど、駅直結の二子玉川ライズにはパパやママ、そして子どもたちの元気な姿が溢れ返っていた。なかでも人気は屋外にあるアイススケートリンクで、とびきり楽しそうな黄色い声が盛んに飛び交っている。そのすぐ隣りには、この日の目指すイベントの会場iTSCOM STUDIO & HALLが構えている。列を作って入口へと向かう人々のなかには、和服姿の女性もチラホラ。落ち着いた雰囲気の女性客が大半を占めている。
　この日のイベントは、『僕を祝ってくれまい会 〜40年分のやつ〜』と題された、細谷佳正の40歳のお誕生日会。『シャン・チー／テン・リングスの伝説』、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』、『この世界の片隅に』、『進撃の巨人』など、様々なアニメや映画やナレーションで声優として活躍を繰り広げる彼は、この日は何をやってくれるのだろうか？　などと思っていると、彼の幼い頃からの写真で綴られたビデオでスタート。その後、本人がステージに登場すると、ワンマントークショーのようなスタイルでバースデーイベントは始まった。

　装着しているヘッドセットのマイクが「スティーブ・ジョブズみたいでしょ？」なとど笑わせつつ、このイベントの開催理由などを説明。冒頭のビデオの懐かしい写真の裏話や、40歳を記念して先日発売されたフォトエッセイ『アップデート』の話などを交えつつ、40歳という節目について語ってくれた。
　ひと息ついたところで、ビデオによるお祝いメッセージのコーナーへと。浪川大輔さんや杉田智和さんからのメッセージに対して、おもしろおかしく反応しながら、人生観や健康に関する拘りなども語ってくれた。
　ビデオメッセージの3人目には、蒼井翔太さんが登場。タロット占いで細谷氏の性格、2022年の仕事運などを予言。思いの外に神妙に聞き入らせて、本人もその占い結果についてじっくりと考察。いろいろと自身について語ってくれたので、ファンにとってはより深く彼のことを知ることができたのではないかと思う。

　後半の目玉は、会場のファンからの質問に答えるというコーナー。事前に書いて質問箱に入れてもらっていたファンからの質問の紙をランダムにひいて、直接そのファンとお話をしましょう、という企画。愛犬の話からスキンケアや筋トレの勧めまで、さまざまな質問と回答が飛び交うこととなったが、なかには、声優を目指している方や、アナウンサーになる勉強をしているという方からの質問も。声優という仕事に関しては、先輩の立場から真剣に、丁寧に答える姿が印象的だった。最初は「今日は小説家としてステージに立っている」と言って会場を笑わせていたけれど、次第に声優としての談話でヒートアップしていったという感じだろうか。

　サプライズで大きなバースデーケーキが登場すると、会場にいるファン全員との記念写真の撮影タイム。「ドレスコードは一輪の花」という本人からのSNSメッセージに応えて、花を持参してきた人たちは、このときに花を掲げながら。最後は来場してくれたファンへの感謝の言葉と、「これからも僕の仕事を、みんなと一緒に楽しんでいけたら嬉しいです」というコメントで締め括られた。
　本人がステージを降りると、手書きのメッセージがビデオテロップで流されて、その内容にホッコリさせられたり、クスッと笑わせられたり。更に、優里のカバー『かくれんぼ』を歌ったビデオが流され、しっぽり気分に。しかも会場を出る際には、細谷本人が出口でお見送りをしてくれて、カレンダーのプレゼントまで。40歳を祝うはずが、いつの間にやら、すっかり手厚くおもてなしを受けているのだった。
　ちなみに夜の部には、小野賢章さんが登場。2人でジェンガをやりながら、和気藹々のトークを展開。昼の部とはまた違った趣向で楽しませてくれた。

［TEXT by 村上ひさし］
［PHOTOS by 江藤はんな（SHERPA+）］