H.I.P HAYASI INTERNATIONAL PROMOTION

LIVE REPORT

フォークシンガー小象

~奇跡は2度起きる!
5年振りのニューアルバム「for LOVE, for SELF, for LIFE.」発売記念ライブ~

2014.10.16 thu at 南青山MANDALA
Open 18:30 / Start 19:30

今世紀最大の”衝撃”はここにあり!
年齢不詳、昭和のカヲリ、衝撃を呼ぶ男。
摩訶不思議なフォークシンガー小象が、ついに降臨!

 キンモクセイの香りが鼻をくすぐり、ひんやりとした空気に秋の訪れを感じた10月16日(木)。この日、フォークシンガー小象による、5年振りのニューアルバム【for LOVE, for SELF, for LIFE.】の発売記念ライブが行われた。露出が極端に少ないにも関わらず、なんとチケットは即完。
南青山MANDALA。オシャレな青山に、赤く煌煌と光るエントランス。ジャズライブが行われそうな、どこかオトナの雰囲気を醸し出すこの場所に、次々と吸い込まれていく人たち。会場は満員御礼。予習はしてきたものの、初心者でも大丈夫かしら?と過る不安。しかし、ライブが始まるやいなや、めくるめく小象ワールドがそんな不安を一気にぶち壊した!

 壮大なファンタジーを思わせるBGMが響き、暗闇の中、後ろ姿の小象があらわれると、会場から割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こる。「見ろ、あいつが奇跡を起こした男だ!誰も待ってないのに帰ってきたんだ~!」という自虐アナウンスとともに「ようこそいらっしゃいました~!」と元気にスポットライトを浴び、フォークシンガー小象が登場!サンバイザーに、サングラス、花柄のシャツ、赤いベストにケミカルウォッシュのジーンズ、足元はビーチサンダルという見事なまでの昭和テイスト。その出で立ちは、”うさん臭い”以外の何ものでもない。
オープニングは、そのうさん臭さを更に引き立てる、爽やかな胸キュンソング『恋するダンゴ虫』をカラオケ(!)で披露。右左と、見事な腰使いを披露する小象が、観客席に近づくたびに上がる黄色い声援が、謎すぎる(笑)。手拍子と”小象コール”でオープニングから異常な盛り上がりを見せる観客は、満面の笑み。なんと幸せそうなんだ。右拳を上げ、ドヤ顔で決めポーズを繰り出す小象の花柄のシャツの下からは、隠しきれないメタボなお腹がこんにちは(ハート)。はっ。小象のポップで軽やかなパフォーマンスに胸キュンしてしまっているぞ、自分!

 自らアルバム発売記念のくす玉を割り、自ら片付けるという駆け出しのアーティストさながらの哀愁を見せつけつつ、先ほどの会場の盛り上がりについて、「初めての経験!」「声援に負けた気がする(笑)」と驚きを隠せず、興奮したコメントで会場を沸かせる。ハイチェアーに腰掛け、ギターを抱えて披露した『小象のテーマ』でも、ぐいぐいと前のめりな観客の反応に「ほんっと嬉しい!ありがとうございます!」と感謝しつつも「落ち着いたほうがいいんだって!あと何分あると思ってんの?5分ぐらいで疲れるって!」と開始早々、観客を宥める一幕も。気分を良くした小象は「ビール飲みたくなってきちゃった!」とビールを催促。アルバムが発売された奇跡、本公演のチケットが2週間でSOLD OUTした奇跡を祝うべく「本当に皆さんの愛を感じました!みなさんに、そして僕に!」と観客とカンパイタイム!なんだ、この一体感は。もう色々とこちらも、楽しくなって来ている始末。

 準備運動の後は、実体験シリーズに突入。ライブでは必ず演奏するという「二人の中にどろぼうがいる」では演奏前から会場では笑いとどよめきが。ムーディーな赤いライトに照らされて歌う小象の歌声はこれまた予想外に、上手い。俳優という顔を持つだけあり、表現力も折り紙付き。笑いを誘う歌詞ながらも、気がついたらその世界へと引きずり込まれ、なんだかせつなくなっちゃう小象ワールド。強引なノリにも応えていく観客がゆえに、曲調とは全く異なる方向へと翻弄されていく小象の慌てぶりも微笑ましい。「しょうがないの。(ビールに)炭酸入ってんだもん。」と恥ずかしげもなくゲップを連発したり「たまに良いこと言うよ、俺。感謝とか、そういう言葉、たまに言うから。ハハハ!!!」「あいしてるぜ~~」と絶妙なタイミングで繰り出す一言と、うさん臭い笑みで会場を爆笑をさらうなど、自由奔放に、かつ、しっかりと観客の心を掴んで行く様は、関心するほど。会場も小象もノリに乗ってきた頃、演奏されたのは、リズム&ブルースバンド、モアリズムのナカムラ(Vo/Gt)が見事にアレンジしたという『うんこ同士』。この楽曲は”うんこっていうヤツがうんこなんだよ!”という酷い内容の歌詞なのだが、真剣に聴いてしまっている、会場と私。なんだ、この空間は(笑)。うんこうんこ連発しているにも関わらず、何故だか良い曲に聴こえてくるのは、せつないサウンドのせいなのかい?

 そして、小象の謎の人脈が明らかになった異色のコラボレーション、落語家 橘家文左衛門がゲスト参加した楽曲『スポーツマン』を披露。この楽曲は、芸人以外の出演が数十年ぶりという”末廣亭”に小象が出演し、演奏した曲でもある。文左衛門自身も、パンクバンド”THE 黒 KARA”でボーカル&ギターを担当する等、変わった経歴の持ち主である。観客が”S P M N”の体文字を完璧にこなし、ライブの盛り上がりもピーク!ライブ開始から1時間。即興の愉快な休憩ソングで第1部の幕は降りた。

 ライブもいよいよ、佳境に。「トイレ並んでるかも知れませんが、なんとなく始めさせていただきます。」という、相変わらずゆるいペースで突入した第2部。ゲストコーナーに登場したのは、NHK Eテレ”みいつけた”で一躍子供の人気者となった、オフロスキーこと小林 顕作(宇宙レコード・コンドルズ)。”即完の男”、”キッズのヒーロー”という今を時めく2人が、10年以上前に結成したフォークデュオ(羊)が復活!『羊のテーマ』や、作曲してもすぐに忘れてしまい、唯一のオリジナル曲となった『トミエの愛』を披露。念力でシワを伸ばす、トミエ48歳の恋を歌ったこの曲は、例のごとく、小象の見事なストーリー構成に引きずりこまれ、歌詞の結末が気になって気になって仕方がない(笑)。基本はカバー曲を歌い、歌っていたかと思えば、2人の息の合ったコントになだれ込む”羊節”を存分に発揮。ゲストコーナーのラストソンング、アルバム収録曲の『大好きのうた』では、コーラス、ギター参加した小林。小象曰く、”最高のコーラス”の箇所では会場は大爆笑に包まれた。自らを”きゃりー系”と称し、きゃりー(ぱみゅぱみゅ)感を出したという小象の渾身の一曲、そして小林のコーラスを、是非アルバムでチェックして欲しい。なお、12月11日(木)には、約10年ぶりとなる(羊)の単独ライブ【目覚めた羊 2014】が原宿アストロホールで決定している。かつてのライブでは、曲数、6曲で3時間経っていた、という程、かなりの確率で、二人のトークとコントが炸裂する事態となりそうである(笑)。

 大歓声の中、小林を見送ると、再び、小象お一人様タイムへ。小象がどうしても歌いたいという曲『マイケルへの手紙』を披露。観客の反応から見ても、名曲として数えるにふさわしいこの曲は、何度聴いても飽きない魅力がある。2度、3度と聴くごとに、新しい発見があるというストーリーの奥深さが小象の楽曲の特徴であり、興味深い点である。「自分を見失うかも知れないんで、皆さんで呼び戻してください。」と前置きし、披露した『LOVEはどこへいった』は、初期のライブからご家族で参戦しているという、自称”メガネ俳優”が、なんと親子で参加したという豪華すぎる一曲。オトナの事情で、アルバムでもあだ名明記となっているのだが(笑)。見事、会場の呼びかけで、小象、現実世界へ降臨(笑)。観客と一体となって楽しめる楽曲が多いのも、小象ライブの醍醐味と言えるだろう。

 ライブも、いよいよ終盤。セットリスト通りにいかないライブ運びに「予定はどんどん狂うものです(笑)」と笑う小象。「お気持ちで結構です。ローテンションで囁いてくれればいいんで。逆にテンション高いと困っちゃうんで。」と控えめにお願いをする小象が次なる曲に選んだのは、待ってました、太鼓シリーズ『この辺の大将』!! 笑いと拍手でテンションマックスの観客。「1番だけで、、、」という小象に「えーーー!」と不満げな会場。「どうかしてんじゃねえの?!(笑)、、、2番までいきまーす。」と、参ったとばかりに応える小象。「ワ(ン)モアタイム!」「トゥ~タイム」「スリ~タイム」「ラス(ト)タイム!」の掛け声がなんとも絶妙な気持ち悪さで迫ってくる。(ごめんね、小象 笑)そしてラストは、地元や若かりし頃の思い出を綴った『高校時代』『待ってる』をしっかりと歌い上げると、さっきまでの笑いのステージが嘘だったかのように、歌詞を口ずさんだり、目を潤ませる観客がちらほら。会場は鳴り止まない拍手で包まれた。片手にビールを持ち、盛大なカンパイを終了の合図に、小象はステージを去った。全18曲、2時間強に及んだライブは、大成功のうちに幕を閉じた。

 侮っていた。フォークって、同じような曲調で飽きたりしないかしら。とか、変わった格好で面白いだけなんじゃないかしら。とか。正直、期待していなかった(笑)。でも、いいんです。むしろ、期待しないでください(笑)。フォークシンガー小象のライブは、何も考えずに行く場所であり、まるで”夢と魔法の国”に匹敵する楽しさと無邪気さが存在するのである。老若男女誰しもが共感できる世界観がそこにある。まずは、アルバムを買って、一人部屋でほくそ笑むも良し、12月11日、原宿アストロホールへ出向くも良しである。人には教えたいけど教えたくないような、そんな、フォークシンガー小象。売れちゃったら、なんか寂しいな、そんな、アイドルに対して抱くような気持ちにさせてくれる、フォークシンガー小象。

 ライブ終了後、フォークシンガー小象に話を聞くことができた。
今回のアルバム【for LOVE, for SELF, for LIFE.】は”色んな人に支えられて出来たアルバム”だという。言葉通り、豪華なゲスト陣を招いて制作した楽曲集だが、あの人を呼んでおいて、こんなにカットしたのか!という豪快さもあり、あの人だな、と耳を澄ませる、そういった部分も楽しめる内容となっているとのこと。ファーストアルバムのフォーク感とは真逆のポップ感満載のジャケットを始め、楽曲に関しても、単なるコミックソングではなく、聴かせる音楽をという想いから、一曲一曲作り込んだという。せつなさや、身の丈に合った身近なことを歌うという小象らしさは失わず、笑いに留まらない、音楽としての完成度はぐんと上がったと言って良い。
更に、仙台出身の大堀にとっては、3.11東日本大震災以降、明らかに曲に対する方向性に変化があったという。これまでは、歌ってこなかった真面目でせつない歌を歌うようになり、津波で流されてしまった自身の思い出の場所や記憶を詰め込んだ楽曲『高校時代』や、未だ流されたままの2000人以上の人達を、この地で待っているという話を元に制作した『待ってる』などの楽曲が生まれたのだそうだ。今後は、せつない、くだらない楽曲と共に、ストレートに想いを伝える楽曲もやっていきたいと語った。女性ファンが急増しているという、小象。「ゆるキャラ的な要素かな?」と自らを分析していたが、確かに、ライブやブログでそこはかとなく、癒しの要素が感じられるのは確かである。笑えて、泣けて、癒やされる。最高じゃないですか!足掛け10数年、活躍の場を急激に広げる小象の願いは、お茶の間進出!!今後は、認知度を上げ、地方でのツアーも視野に、「きゃりーぱみゅぱみゅと同じ系統でいければ。」と今後の目標を語った。今後のフォークシンガー小象の快進撃に注目である!

[TEXT by Rie Sumi]
[PHOTO by Yuji Honda]



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