テイラー・スウィフト
reputation Stadium Tour in Japan Presented by FUJIFILM instax
2018.11.20 tue at 東京ドーム
open 16:30/start 18:25
Special Guest:Charli XCX
一緒に参加し冒険を繰り広げてゆくミュージカル劇のような
3年ぶりのテイラー・スウィフト東京ドーム公演をレポート!!
テイラー・スウィフトの3年振りとなる来日公演が、今回も東京ドームで2日間に渡り行われた。前回は、アルバム[1989]を。今回は、昨年リリースしたアルバム[Reputation]を手にしたツアーの一環として開催。その規模は、「ついに東京ドームにテイラー史上最大のステージが完成!」と銘打っていたように、先の言葉を裏付けるに相応しい内容だった。ゲストではCharli XCXも登場。ここで、1日目に当たる11月20日(火)東京ドームで行われた[Taylor Swift reputation Stadium Tour in Japan]公演の模様をお伝えしよう。
ズーンズーンと腹の奥底へ響く音は、これから描き出す物語の始まりを告げる合図のよう。ライブは、最新アルバム[Reputation]と同じように『…Ready for It?』から幕を開けた。大勢のダンサーたちを引き連れたテイラー・スウィフトは、凛々しい表情のもとクールに歌いだす。重く唸る重厚な曲に乗せ、隠し持った牙を覗かせるように歌う彼女の姿に、気持ちが嬉しく震えだす。
重低音を響かせ、楽曲は『I Did Something Bad』へ。雄々しき姿のもと挑発するように歌う、その一挙手一投足から目を離せない。テイラー・スウィフトは、大勢のダンサーたちと絡みながらミュージカルのような舞台劇をステージ上へ投影。挑発するような歌声とダイナミックな動きも刺激的だ。戦慄にも似た感情が、いつしか気持ちを震わせていた。スリリングなこの空気が、堪らない!!
昂る気持ちを開放するように、テイラー・スウィフトは『Gorgeous』を歌い、満員の観客たちを華やかな世界へ連れ出した。妖艶なダンサーたちを従えた彼女は、自らへ視線を向ける人たちを舞台上から妖しく挑発。とてもセクシーで危険な香りを放つステージングだ。会場中の誰もがテイラー・スウィフトの姿に見惚れていた。舞台上を彩る女性たちの姿へ、美しい衝動を覚えずにいれない。興奮した感情を華やかな色へ染めあげるように、『Style』『Love Story』『You Belong With Me』と、胸騒がす歌をメドレーで披露。眩い光に包まれながら、甘い恋心を覚えた会場中の人たちが彼女と無邪気にはしゃぎあう。手に汗握る幕開けから華やぐ様まで、曲が進むごとに場面を切り換えながら、壮大でかつ長大な物語をテイラー・スウィフトは描き出してゆく。
次のブロックでは、キングコブラなど、邪神ならぬ蛇神が支配する世界へ紛れ込んだ、冒険心あふれる世界を描写。『Look What You Made Me Do』では巨大なキングコブラが襲いかかるスリリングなステージを描き出せば、きらめく黄金郷の中、宝を奪い、守りゆく戦いのような様を『End Game』に投影。『King of My Heart』で華やかに終止符を打つなど、まさに冒険アドベンチャーな物語を、キラキラと黄金色の輝きを放つセットを背景にテイラー・スウィフトは作りあげた。観客たちも体感型なスペクタクルショーを彩る一員となり、一緒にハラハラドキワクの物語を味わっていた。
ブロックが変わるたび、物語も大きく表情を変えてゆく。優しい声を響かせ、テイラー・スウィフトは『Delicate』を祈るように歌いだす。いつしか背景には満天の星空が広がり、観客たちの腕に巻いたリストバンドも輝き、会場中を星の輝きで満たしてゆく。胸がキュッと疼く、とても素敵な光景だ。無数の光をつかもうと光輝くゴンドラへ乗り、テイラー・スウィフトは夜空へ。輝く星たちをつかもうと空を舞いながら、彼女は温かな歌声を場内へ染み渡らせた。
左右に用意されたミニステージ左側の舞台に舞い降りたテイラー・スウィフトは、この場をカラフルなディスコ空間へ塗り替えようと『Shake It Off』を披露。会場中が一気に華やいだように、彼女は歌に触れた人たちを、その楽曲を担う大切なキャストに変えてゆく。また『Shake It Off』では、オープニングアクトを飾ったCharli XCXもディスコパーティへ参加。テイラー・スウィフトと笑顔で歌い絡み合う場面も見せていた。
中盤では、テイラー・スウィフトの原点ともいえるアコギを手にした弾き語りのコーナーも。ここでは『Dancing With Our Hands Tied』と『I Know Places』の2曲を披露。剥き出しのスタイルだからこそ、彼女の感情的で抑揚を抱いた歌声の魅力をダイレクトに感じることが出来た。
歌い終わり、テイラー・スウィフトはファンたちとハイタッチをしながら客席を練り歩き、右側の舞台へ。『Blank Space』を、艶やかで躍動的な姿を持って力強く歌唱。続く『Dress』では、黒いドレスを身にまとい、幻想的な音に包まれながら、彼女は色めく香りを振りまき、歌い踊っていた。生身な姿から一瞬にして対極にある様を映しながらも、そこへ違和感を覚えるどころか、瞬時にその世界へ惹き込まれるのは、テイラー・スウィフトが1曲ごとにその空間を鮮やかに塗り替えてゆくからに他ならない。
ふたたび空を舞いながら次はフロントステージへ。『Bad Blood』『Should’ve Said No』『DON’T BLAME ME』と、立て続けに披露した曲たちを通して作りあげた、黒い華やかさ。闇が支配する中での宴の様は、『Blank Space』の時点から既に始まっていた。影を抱いた荘厳な世界観も、テイラー・スウィフトに心吸い寄せられる魔性な魅力だ。
そして、それまでの物語の扉を一度閉めるように、ピアノの弾き語りで『Long Live』と『New Year’s Day』を優しく歌いあげる。抑揚を持ったその歌声と奏でる音色は、彼女の微細に揺れ動く心模様まで映し出していた。
心が沸き立つ、胸が熱く高鳴る楽曲だ。スケール感のあふれた楽曲へ飛び乗り、力強く突き進め!! 最後のブロックの始まりを飾った『Getaway Car』が与えた、魂を熱く震わす躍動。そして、ここから新たな舞台が始まることを祝うように『Call It What You Want』を熱唱。多くのダンサーたちと一緒に作りあげたのは、華やかな宴の様。物語はクライマックスへ向け、どんどん輝きを放ちだす。沸き上がる熱、昂る感情。そして…。
最後に、テイラー・スウィフトは『We Are Never Ever Getting Back Together』と『This Is Why We Can’t Have Nice Things』をプレゼント。まるでミュージカル劇のクライマックスを彩るハッピーエンドな風景だ。舞台上も、会場中の人たちも、その歌を胸に掲げ、ともに満面の笑みを浮かべ、豪華絢爛な宴の中で沸き立つ興奮に包まれていた。眩しい輝きの世界へ一緒に飛び込み、彼女と一緒にしっかりと明日を見つめていた。
この日本公演をもって、昨年から続いたアルバム[Reputation]を手にしたワールドツアーは幕を閉じる。そのツアーの最後に彼女が指し示した未来の風景に、また一緒に笑顔で飛び込みたい。
[TEXT by 長澤智典]
[PHOTOS by Yoshika Horita]