2016年ラストライブでニューアルバム初披露！
栄喜が贈る一足早いクリスマスプレゼントJust Ⅳ you！

12月も中盤を過ぎ、街はクリスマスムード真っ只中。イルミネーションが点灯されるころ、街行くカップルは肩を寄せ合い、子供たちはサンタクロースに手紙を書いていた。会場の外ではファンの長蛇の列が開演を心待ちにしながら白い息で続いている。
2016年10月20日、日本武道館にてSIAM SHADEの“完結”となるメジャーデビュー20周年を記念したライブを終え、あれから約２ヶ月。栄喜はソロとして今年最後となるステージを迎えた。

オンタイム。「行くぞ！」と叫ぶ栄喜の登場とともに最新アルバム『栄喜Ⅳ』より『Awake』から始まり、満員になった客席が一気に揺れる。黄色のマイクを持つ栄喜を今回のライブタイトル「トリプルギターが来たー！」というだけあり、土屋浩一、白田雄人、DAISUKEの3人によるいつもより更にボリュームのある重厚感溢れるサウンドにベースはNATCHIN、ドラムは笹渕啓史というメンバーが脇を固めた。『Never be afraid』『Change』と続き、畳み掛けるようにMCが始まる。「はい、ようこそー！慌ただしかったね今年は。SIAM SHADEとかSIAM SHADEとかSIAM SHADEとか…」黄色い声援のなか、自身の公式サイトで販売されている目覚まし時計の話題に。
「あなたが栄喜に言ってもらいたい言葉で目覚める事が出来る、世界で1つのスペシャル目覚まし時計です。栄喜があなたのためだけにアラーム音を録音します」（公式サイトより引用）

栄喜の片手には“栄喜に言って欲しい言葉”がびっしりプリントされたA4サイズの紙が数枚。自らが選び、赤ペンで丸をつけた言葉を少しだけ紹介していく。
「なぁ、今村○○にならない？一生の愛、誓ってやるよ」
「○○～チュウしたい！早く～我慢できないよ」
客席からの黄色い声が響くなか、照れ隠しでギターの白田にも読ませる栄喜。
「朝だよ。起きて！それとも一緒に寝ちゃう？…愛してる」
女性はコテコテのセリフが好きなようだ。
随時、準備ができたものから発送しているがすでに170個がファンの手に届いているとのこと。まだまだ残っている録音作業に悪戦苦闘しながら少しずつ栄喜の声は届けられていくという。

「最初は笑っちゃって言えなかったんだけど、みんなエロいことばかり考えてるんだね（笑）！みんなこんな僕のために飛んでください」と、土屋のギターソロから『JUMP』が始まり、会場が揺れたかと思うと『Love is Limited』で愛の意味を問う歌詞で酔わせ、『Madness』の爽快感のまま『ride on time』へと突っ走って行く。再度MCに入り、話題は最近一緒にいる事が多いLUNA SEAのRYUICHI氏の話題に。
「本当にタフなんです。RYUICHIさんと同じ時間を過ごしたら2日でダウンする。それくらい…ジーザス！」リスペクトしつつ、何度も繰り返す「ジーザス」に会場の笑いは絶えず。気付けば2016年に発表した2枚のアルバムから14曲が続き、ステージ上で円を囲むようにお互いの顔を見合い、笑顔で演奏する姿が印象的だった。『太陽に手をのばして』では、ずっと上に手を伸ばしたままの栄喜と会場がひとつになり最高潮のままステージを離れる栄喜とメンバー。

アンコールでは「俺にインターバルはいらない」と、先程の熱を引き継ぐように３曲続き、『声に…』でオーディエンスの大合唱とともにラストを飾る。

メンバーがステージから去り、会場スタッフから幾度となく公演終了のアナウンスを流すも鳴り止まないアンコールに栄喜が再び登場し、アカペラで『千の風になって』を歌い、「お願いだから帰って下さい！」と深々と頭を下げステージを後にした。「楽しかったー！」と笑顔で去って行くファンを横目に楽屋に戻ったばかりの栄喜にインタビューを試みる。

—2016年にアルバムとミニアルバムをリリースして初めてのライブでしたが

「僕のソロをSIAM SHADEのファンにも聴いて欲しかったからSIAM SHADEのツアーの途中で作って、1回休んでツアーが始まる前に次を出したんですけど…。やっぱり時間がいくらあっても足りなくて。曲をいっぱい作っても、全部が全部いい曲だとは限らないし。10曲あるうちの1～2曲がいいとすると、とにかく曲を作る事ばかり考えていたかもしれません。歌詞を書くときも文字数をパズルみたいに組み立てていくんですけど、ひとつひとつの言葉が曲によって明るかったり暗かったりと響き方が違ってくるんですよね。SIAM SHADEがツアーをする前に作りたかったんですけど、結局間に合わなかったです。でも、今日みんなの前で全曲出せたことが2016年を締めくくるいいライブだったと思います」

—2016年にアルバムとミニアルバムをリリースして初めてのライブでしたが

「僕のソロをSIAM SHADEのファンにも聴いて欲しかったからSIAM SHADEのツアーの途中で作って、1回休んでツアーが始まる前に次を出したんですけど…。やっぱり時間がいくらあっても足りなくて。曲をいっぱい作っても、全部が全部いい曲だとは限らないし。10曲あるうちの1～2曲がいいとすると、とにかく曲を作る事ばかり考えていたかもしれません。歌詞を書くときも文字数をパズルみたいに組み立てていくんですけど、ひとつひとつの言葉が曲によって明るかったり暗かったりと響き方が違ってくるんですよね。SIAM SHADEがツアーをする前に作りたかったんですけど、結局間に合わなかったです。でも、今日みんなの前で全曲出せたことが2016年を締めくくるいいライブだったと思います」

—ライブが終わってみてどうでしたか？

「ドラムのブッチくん（笹渕啓史）が今回初めてで。僕がひとめぼれしたドラマーなんです。メンバーもみんな忙しくて来年の8月くらいまで押さえないと取れないんですよ。でも、2016年を締めくくるにあたり、こうやって集まってくれて本当に嬉しいですね」

—今回のタイトルは『トリプルギターが来たー！』ということでしたが

「DAISUKEが『今年最後だからみんなを集めて楽しくやろう！』と、言っていて、音楽的にというより、今年最後ということでワイワイ楽しくやりたくて。僕は、あまり人前に出るのが苦手で家で曲を作ってるのが好きなんですよ。でも、ライブをやるとやっぱりライブっていいなって思うんですよね。そしてまた一週間くらい経つと人前に出たくないなって思ったり。いつもその繰り返しなんです」

—それでも、ライブに出るのはファンの声があるから？

「普段、本当に必要とされているのかって実感が沸かないじゃないですか。だけど、ライブだけがこの人たちはエキストラじゃないと思えるんです。ライブがないとこんな孤独な仕事やってられないと思うんですよね。曲を作ったところで誰か聴いてくれるのかな？っていつも思うし。それでもちゃんと聴いてくれているファンが目の前にたくさんいてくれるからまたライブをやろう、楽曲を作ろうって思えるんです」

—楽曲を作るときにどういう事を考えますか？

「ライブを想定して作るんですが、みんなに『楽曲が難しい』と文句を言われます。ありきたりにならないようにリズムを考えていると複雑になっちゃうんですよね。今も新しいアルバムを制作中なんです。今まではスタジオとかで録っていたんですけど、家で歌を録る環境や音をこだわって凄い反響のいいものが録りたいんです。“声を録る”というか、そこが音楽の真ん中なので声さえ前に来ていれば演奏もバンと出て来るので次はそこにこだわりたいです」

—ファンの方々が栄喜さんの声が好きと言っていましたが

「素直に嬉しいです。少しでもかっこよく歌えたらいいなと思い、今まで沢山の人に影響されて、歌ってみるんですけど…。結局、色んなフィルターを通して今の自分の声があると思うんです」

—2017年はどういう年にしたいですか？

「LUNA SEAのRYUICHIくんと平日の朝はジムに行ってるんです。二人で凄くハードなトレーニングしてるんですけど、毎週土日と休日はほぼライブがあるので全然休まずに走り続けているのを見て、2ヶ月に２日しかライブやらない自分が凄く怠けている感じがして。だから来年は見習って僕も頑張ろうかなと思っています」

来年の2月ぐらいを目標に彼のハイトーンボイスを凝縮したアルバムを制作中だという。ファンひとりひとりに想いを込めた目覚まし時計の録音と同時に（笑）。
栄喜の新たな一歩はまだまだ続く。

PHOTO by YUJI HONDA
TEXT by オオタニヒトミ