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LIVE REPORT

diffusy presents

片平里菜 2nd ワンマンツアー 2014 【amazing sky】

2014.11.24 mon at LIQUIDROOM
Open 17:00 / Start 18:00

日本人女性初のエピフォン公認アーティスト 片平里菜
小悪魔っぷり炸裂のワンマン東京公演、大盛況!

 一段と寒さを増した東京の3連休最終日。この日、片平里菜の2度目となるワンマンツアー【amazing sky】がLIQUIDROOMで開催された。8月にリリースされた初のフルアルバム【amazing sky】を引っさげてのこのツアー。名古屋を皮切りに、今回の東京を含む全6都市をまわり、片平の地元である福島でファイナルを迎えるのだが、1stワンマンツアーに引き続き、全公演SOLDOUT。寒さで体を縮めながら足を踏み入れた会場は、隙間もないほど見事に埋め尽くされ、すし詰め状態。外の寒さを一瞬で忘れるほどの熱気に圧倒される。開場前から、ゲットしたツアーTシャツやタオルで準備万端。約1000人の観客が、片平の登場を今か今かと待ちわびていた。
透明感のある力強い歌声が響き『この空を上手に飛ぶには』の弾き語りでステージの幕が開く。静寂から、バンドの優しいカントリー調の音に乗り、アルバムタイトル曲であり、本公演のツアータイトルでもある『amazing sky』へと繋げる。長い手足で長身。クールな雰囲気とは裏腹に、スイートでハスキーな歌声が心地よく体を突き抜けてゆく。そのギャップにオープニングからやられてしまう。楽器のように声を自在に使いこなし、まっすぐな声、ひらひらふわふわと舞う繊細な声、少女のようなあどけない低音など、多彩な表現を可能とする彼女の歌声は、曲の世界観を一層色濃いものにしている。明るいポップチューン『女の子は泣かない』や『HIGH FIVE』、デビュー曲『夏の夜』などアルバムからの楽曲を続けざまに演奏すると、拍手と歓声で会場のテンションも上がっていく。耳馴染みの良いメロディーとノリで、初参加でも一緒に盛り上がれるのは嬉しい。曲間に、長い髪を後ろにまとめる仕草にドキッとさせられたかと思えば、曲に合わせて何度もギターチェンジをする片平のキリッとした佇まいや、音楽に対するこだわりも垣間見え、片平里菜というアーティストの面白さが感じられる。

 ライブ中盤でのまったりとしたバラードの後は、片平が持つFMyokohamaでのレギューラー番組”YOKOHAMA RADIO APARTMENT カタコトラジオ”の”カタコトライブ”コーナーが登場。未発表曲や、カバーを演奏するコーナーで、ペダルスティール/スティールパン/ティプルの田村玄一の楽器が作りだす南国のような、癒しの音が見事にマッチした『子供時代』など2曲を演奏。バンマスのBa. tatsu率いる今回のバンドメンバーは実力派揃いで、弾き語りの片平の世界観を壊すことなく、絶妙なバランスでサポートしている。
そしてMCでは、片平のトーク力の話題へ。「噛んでも良し、止まってもよし」というラジオDJらしからぬ実態を隠すことなく暴露し、トーク力が向上しないと嘆きつつも、すぐに「楽しいからいいよね!」といたずらっぽく笑い、会場を沸かせる。さらに、マイペースかつ自由奔放な無茶ぶりで、Gt./Vn. コジロウ(佐々木貴之)がマイケル・ジャクソンの『ビリー・ジーン』を演奏しながら、ムーンウォークを披露したり、はたまたDr. 伊藤大地は、鉄道ファンの”てっちゃん”であることを公表し、話題は鉄道ネタへと大混線。地元では、手動式ボタンで電車のドアを開閉していたという片平が「(手動だから)駆け込めた。」と話すと、会場から「危ないですからおやめください!」という駅員のような威勢のいいひと声が上がり、(本職の方?)大爆笑の渦に。
縦横無尽にバンドメンバーやファンを翻弄する小悪魔っぷりに心を鷲掴みにされたところで、ライブもいよいよ佳境に。「悔いのないように楽しんでいきましょう!」という掛け声とともに『Hey boy!』を披露し、これぞワンマン!という息のあったコール&レスポンスを魅せる。歌い出すと、別人のような説得力がある
彼女。熱気を保ったまま、虹色の照明を浴び、椎名林檎のアレンジャー、東京事変のBa.として一躍有名となった、亀田誠治がアレンジを手がけた挑発的な1曲『Oh JANE』を歌い上げ、ラストへ向けて駆け抜ける。長時間歌ってもブレない歌声に、ただただ圧倒される。夕日のような優しいオレンジやピンクの照明に包まれながら『Come back home』を会場と大合唱。鳴り止まない拍手と歓声に包まれ、ライブ本編は終了した。

 アンコールではツアーグッズのTシャツワンピを着用して再登場した片平。Hawaiian6の安野勇太から伝授されたという”お疲れ山”のハンドサインで和気あいあいとした記念撮影を終えると、マイクを離れ『始まりに』の生歌・生演奏を披露。まじりっけのない、ピュアな歌声で会場を満たし、観客を魅了した。片平がまだ10代だった2011年に開催された「閃光ライオット 2011」で1万組の中から、審査員特別賞を受賞、その後、2013年にメジャーデビューし、まさにトントン拍子の片平だが「私のかわりなんていくらでもいるんじゃないかなと思っている。」と率直な想いを伝えつつも「私しか歌えない歌を歌っていく。」という覚悟にも似た決意を語ると、ステージから手を伸ばしファンとがっちり絆を確かめ合い、満面の笑みでステージを去った。

 ライブ終了後は、思わず感嘆の声を漏らす人の姿が多く見られ、このライブの盛況ぶりが伺えた。
ライブハウスでこつこつと活動してき彼女だが、沢山の人に歌を伝えるという次のステージを着実に進んでいるのだと感じた。3.11後の故郷、福島に対する想いを語った際は「言葉だと足りない部分がいっぱいあって、語りたいこともいっぱいあるけど、歌を聴いてください。」とやはり彼女は、表現者なのだと思わせる場面も。東京に住まいを移し、益々活躍の場を広げていくことは間違いだろう。
なお、12/29(月)には、幕張メッセで開催されるイベント【rockin’on presents COUNTDOWN JAPAN 14/15】への出演が決まっている。懐かしい気持ちとピュアな気持ちにさせてくれる彼女の歌。2014年の締めくくりと2015年の始まりに必聴!彼女の今後が楽しみだ。

[TEXT by RIE SUMI ]
[PHOTOS by TSUTOMU ONO ]



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