LENNY KRAVITZ
BLACK AND WHITE JAPAN TOUR 2012
2012.04.07 sat 東京ドームシティホール
open 17:00 start 18:00
世紀を駆け抜けるロック・ミュージシャン!LENNY KRAVITZ !!!!
メローな空間演出からロック魂炸裂のパフォーマンスで会場をひとつにした東京公演最終日。
今回は先ずセットリストに注目していただきたい。
最新アルバムがツアータイトルにもなっている事から、そのアルバムメインに進められると思っていたが、このセットリストからしてレニークラヴィッツのストーリーここにあり!と感じてしまう。
最新曲も勿論だが、誰もが口遊んだであろうあの名曲からCMや映画でお馴染みのあの曲まで出し惜しみ一切無しのツアーが行われたのであった。
何と言っても日本単独ツアーが14年ぶりであり、この日が来るのを首が長くして待っていた沢山のファンで埋め尽くされたパンパンの東京ドームシティホールは開演前からレニーコールが至る所で聞こえ、14年分の生のレニーを受け入れる準備が早くも整っている。
照明が消され、真っ暗になった会場に浮かび上がったのは黒を基調としたステージ。目映い位に炊かれたストロボと共にレニー登場!
レニーの放つ凄まじいオーラをプンプンさせつつ、去年発売されたアルバム【BLACK AND WHITE AMERICA】から”Come On Get It”スタート。
NBAの公式テーマソングとなったこの曲を紅一点のベースGEORGE LAKSがキーボードを弾き、相性抜群のギターCRAIG ROSSは勿論、キーボードのGEORGE LAKS、ドラムのFranklin Vanderbilt,Jr 、ホーン隊は3人編成となっており、トランペットLudovic Louis、トロンボーンGabrial McNair、サックスHarold Toddといったバックバンドと共にパワフルかつダイナミックな演奏が会場を包む。
「Tokyo!」そう叫んだレニーが途中からチェリーサンバーストのレスポールをかき鳴らし、ギターのCRAIG ROSSと背中合わせ…いや、レニーの背中に完璧に乗りながらギターを弾き、セカンドアルバム【Mama Said】の”Always On The Run”のリフが鳴り響く。バックライトを浴びたレニーに大興奮の会場は肌寒い春を忘れさせ、更にヒートアップ!
オースティン・パワーズ・デラックスのサントラにもなった”American Woman”と続き歌詞をTOKYOに変え、ギターをハニーバーストのレスポールに変え、変わらないのはレニーの歌声と声量。そしてレニーを待っていたファンの期待度のハンパ無さが感じ取れる。
“It Ain’t Over Till It’s Over”のイントロが流れ、大興奮の会場。黄色のギブソンを手にしたレニーは甘い歌声と共に”Mr.Cab Driver”から”Black And White America”への胸を打ち砕くかの様なトランペットのソロに繋げたところの演出が音楽を通して今までの色んな歴史(人種差別等)をメッセージに込めている気がしてならない。
トランペットの高音も気持ち良く響き、会場からは沢山の拍手が送られた。
正直、ここの繋ぎをどうみせてくれるのかと期待していたが、その期待は裏切られる事は無く、ソウルフルな絡みに大満足であり、レニーの込めた想いがひしひしと伝わってくる。
サングラスを外し羽織っていたロングベストを脱ぎ「Come on! Friends!!」とマイクスタンドを客席に向け大合唱する客席に笑顔を見せ、ドラムを叩くフリをしておどけてみせる場面のあり、レニーのフレンドリーさに今まで想像していたクールな姿とかけ離れていた気がしたが、コレが本当のレニーなんだ!と何だか嬉しくなっていたら、会場のファンが「髪型変えた?」との声に、分かっていたのか分かっていなかったのかは不明だが「yeah!」と答えるレニーに客席から笑いが起きた。
フルートから”Fields Of Joy”が始まり、ここから70年代を感じるナンバーが続く。
客席への階段を下り、緑のテレキャスを弾き、”Stand By Woman”ではどこかジョンレノンを感じ、紅一点ベーシストAnn Dorseyの汗を拭いてあげる優しさを見せ、そのタオルを会場にワンハンドシュート。ギターのCRAIG ROSSがキーボードを弾く一面も。
アコースティックギターを手にしたレニーが聴かせる”Believe”の甘くせつない独特の雰囲気を堪能しつつ”Stand”ではドラムに合わせ「Stand!Stand!!」と叫び、2階席3階席を総立ちにさせ「I love you! Thank you Tokyo!」と感謝の気持ちと共に左手でギターを高く高く掲げた。
先程までの甘いひとときから一転。ここからはレニーのロック魂炸裂ナンバーが続く。
“Rock And Roll Is Dead”では、黒のレスポールを弾き、バックバンドが全員赤に染まったままステージは緑や黄色に変わるといった演出側も負けじと魅せ方にこだわりを見せ、かっこよさを引き立て追求する場面にただただ感動。
ここから”Rock Star City Life”に続くのだが、ここの流れも絡みも最高に気持ちがいい。
“Where Are We Runnin’?”ではホーン隊の3人がステージ最前に出て来てレニーと並び、絶妙な絡みをみせ、”Fly Away”では拳を高く高く上げたレニーのかけ声に応え、大合唱しつつひとつになった瞬間…ついにあのイントロの登場!
シーグリーンのフライングVを手に”Are You Gonna Go My Way”の絡み合うギターの気持ち良さ!
照明が一度消え、フライングVを持ったレニーの陰が映し出されるニクい演出もあり会場のボルテージが最高潮に達したところで「Tokyo!!」そう言ってステージを去るレニー。
鳴り止まないアンコールが会場に響き渡り、再度ギターのCRAIG ROSSと2人でステージへ。
アメリカツアー中のアリゾナ公演にてWhitney Houstonに捧げたとされる”Push”をアコースティックギターに乗せステージ最前に座り足を降ろし、最も近い距離での”Push”が聴けたのだ。
70年代のニューソウルを感じさせるだけではなく、アコースティックギターとシンプルな演出ではあったが、何て豪勢なんだろうか…途中からサックスも加わり更に世界観が広がって行く。
再度メンバー紹介をして”Let Love Rule”が始まるのだが、そのまま客席へ降りて来たレニーは、お父さんに抱っこされている子供と一緒にリズムに合わせ踊ったり2階席から手を伸ばすファンに自ら近付きハイタッチをしながらグルっと外回りを一周して行くではないか。
一番後ろのファンにも近くで会いたいというレニーの粋な演出に大興奮したファンがレニーに近寄る。
こんなに近くに大スターが居る!という現実離れした瞬間をプレゼントしてくれたレニーのファンサービスには、ただただ感心する。
来て当たり前、見て当たり前、そんな考えがレニーには無いのだ。
いかにファンに喜んでもらえるかーそれがセットリストからもステージングからも十二分に伝わってくる。
両手を横に伸ばし、会場の声援を体いっぱいで浴び、8人で肩を組み深々とお辞儀をし、ステージを去って行った。
あっという間のライヴだったが、レニーは胸に手を当てながら私達に約束をしてくれた。
「次は1年半以内に日本にまた来る」
その言葉を信じ、再び日本に来てくれる事を待ちたいと思う。
[TEXT by オオタニヒトミ]
[PHOTO by HIROSHI NIREI]